5月11日に、5年ぶりの6thアルバム『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』をリリースしたアークティック・モンキーズ。
同作は全英アナログ・チャートの25年越しの記録を更新するなど大ヒット中だが、バンドの過去5作品から音楽性は大きく変化しており、その独特な世界観を持つ歌詞も話題になっている。
英「Radio X」では、この新作収録曲それぞれの歌詞についてのアレックス・ターナーの発言を掲載。本記事では、そんなアレックスの頭の中を覗くことができる「Radio X」の記事の一部をご紹介していく。
M1: Star Treatment
――ただ僕はザ・ストロークスの一員になりたかっただけ、それが今ではこのザマだ――
ザ・ストロークスが登場して、聴く音楽も変わったし、着るものも変わったよ。髪を伸ばして母さんのブレザー借りてさ。超ファンだったんだ。あの歌詞は、いかに時間が一瞬のうちに過ぎたかを端的に表している。
1stアルバムの歌詞を書いた感じを思い出したよ。この2枚には似てるところがあって、これほどの類似点は他のアルバムにはない。それが何なのかは正確には言えないんだけど。もしかしたらこの歌詞に理由があるのかもしれないね、率直だって意味で。
M4: Tranquility Base Hotel & Casino
――はい、こちらはトランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ、担当のマークでございます、どちらにお繋ぎしましょうか――
最初に“マークです”って電話で言ってる男を思いついて、じゃあどこにしようと思って。それでそこ(トランクイリティ・ベース=1969年にアポロ11号の月着陸船が着陸した場所である月面の「静かの海」)に決めた。順番が逆だったんだ。
M6: Four Out Of Five
――起きることのなかった幾つもの夜と、存在していない日々 <情報と行動の比率>――
トランクイリティ・ベースについて考えた時に、この曲が示唆しているのは、この場所に行くのに、もしかしたら居心地のいい自分の家から出なくてもいいかもしれないってことだった。単純にヘッドホンをつけたら、ほらねっていう。
M7: The World's First Ever Monster Truck Front Flip
――ボタンを押してくれたら、あとはこちらが引き受けよう データ記憶装置が鳴らす風変わりな音――
本物のニュースで、「The World's First Ever Monster Truck Front Flip」っていう動画があったんだ。あんなことができるなんて本当にすごい。そこから『大統領の陰謀』の、ダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォードがいるようなニュースの編集室を想像したんだよ。2人が編集者の注意を引こうとして「信じられない! 前転したぞ!」とか言ってるわけ。
M10: Batphone
――金ピカの街での華々しい夜、人生は集客力の高いスポーツとなった 今度発売されるのは、僕がプロデュースした“インテグリティ(高潔)”という名の香水、金では僕を買えないという事実を僕は金で売るってこと――
俺はインテグリティって書いてある香水の瓶のフォントを思い浮かべることができる。それさえできればあとはうまく収まるんだよ。
M11: The Ultracheese
――何という死に方を僕はしたんだろう、あの曲を書いている時、最初から最後まで君は眺めていたね――
これは俺が自分のデフォルトの位置と呼べるようなところに一番近いタイプの曲だと感じてる。“Cornerstone”とか“The Dream Synopsis”みたいなさ。最もとっつきやすくて、自分でもたぶん最もしっくりきてる。大勢でライブ・テイクを録って、それが曲にエネルギーを与えたんだ。
『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』のレビュー記事、そしてアークティック・モンキーズの12年間の歩みを振り返るコラムは以下。