【ケンドリック・ラマー編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい

【ケンドリック・ラマー編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい

ケンドリック・ラマーが、2013年のフジロック出演に続き、2度目にして堂々のヘッドライナーで帰ってくる!! それだけでも大感動だが、何と!!! 彼と同じ年のヘッドライナーが、ボブ・ディランなんて素晴らしすぎる。他のどの国でも実現していないのではないか? ケンドリックの傑作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』に収録された“オールライト”は、そのために書いたわけではなかったが、警察による黒人への不当な暴行を訴えることに始まった“Black Lives Matter”ムーブメントのアンセムとなった。それは、60年代の公民権運動を彷彿とさせるものであり、ケンドリックと並ぶ現代のスーパースター、チャンス・ザ・ラッパーの『カラーリング・ブック』も、その歴史を意識したものだ。トランプ政権下のアメリカではそれがメジャー・シーンにおける重要な要素なのだ。今年のフジで60年代と21世紀の音楽シーンで公民権運動を象徴するアーティストが同じステージに立つとは!! 歴史的瞬間と言ってしまいたいくらいだ。

ケンドリックを目撃するということは、今のアメリカの頂点を目撃すると言って差し支えないと思う。最新作の『ダム』が、グラミー賞で7部門ノミネートされうち5部門獲得。しかも、最優秀アルバム賞を獲得しなかったことが、大論争に発展したくらいだから。また、『ダム』は、各メディアが選ぶ年間ベスト・アルバムで最も1位を獲得した作品であり、この原稿を書いている3月19日現在も全米チャートのトップ10入りをしている。同時に、今年公開され、全世界で社会現象化し大ヒットしている映画『ブラックパンサー』のサントラも彼がキュレーションし、それも現在1位なのだ! 正真正銘の頂点に立つ彼を時差なしで体験できるというわけだ。興味深いのは、『トゥ・ピンプ〜』のツアーでは“オールライト”を中心としたより政治色の強い闘争モードのライブを展開した彼だが、『ダム』では一転。“カンフー・ケニー”になりきりブルース・リーを彷彿とさせる衣装で自己の内面を磨く厳しい修行の姿をステージで曝け出している。もしその最新ツアーをフェスで実現すると紙吹雪やド派手な照明に頼ることのないストイックなライブに圧倒されると思う。それがアメリカのメインストリームなのだと思うと、その深さにさらに感動するはずだ。 (中村明美)




「FUJI ROCK FESTIVAL '18」のタイムテーブルは公式サイトでご確認ください。
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