80曲以上に上る歴代タイアップ曲を振り返る冒頭の場面から「“HERO”と“くるみ”を(ダイジェスト映像に)入れなかったスタッフを殴りに行こうか」(千鳥・ノブ)とすでに暴発気味でスタートした「Mr.Children芸人」。「『“Tomorrow never knows”は桜井さんが石神井公園をジョギングしてる時に思いついた』という伝説を聞いて石神井公園の近くに引っ越した(けどネタが全然浮かばなくて別のところに移った)」(タケト)、「“タガタメ”の《子供らを被害者に 加害者にもせずに/この街で暮らすため まず何をすべきだろう?》の2行を聴いて、自分も誰かのためにボランティア行かな!と思った」(Wエンジン・チャンカワイ)といったディープなエピソードが次々に連射されていく。
ライブ中に桜井和寿(Vo・G)が“innocent world”のボーカルパートを観客に委ねるパターンを「初級編」(サビのみ)、「中級編」(Bメロから)、「上級編」(ほぼ全編)としてピックアップするバラエティ番組ならではの切り口もありつつ、同じくライブからは25周年記念ツアー「Thanksgiving 25」での「どうせどこかに行ってしまうと思っていた、僕らの音楽に耳を傾けてくれる方、ライブ会場に足を運んでくれる方……いまだにこんなに、こんなにたくさんいてくれて。本当に幸せだなって思います」という真摯な想いの詰まったMCまで紹介する、長年のファン目線も確かに反映された内容だった。
そして、「サッカー界のMr.Children芸人」として登場した長谷部誠(彼のバイブル曲=“終わりなき旅”の歌詞の英訳がプリントされたTシャツ着用)。ロシアW杯の時は「“進化論”、“足音 〜Be Strong”、“Starting Over”の3曲でモチベーションを上げていた」と語り、中でも“Starting Over”を聴いて「自分の中のモンスター=プレッシャー」と対峙していたことを明かしていた。己の苦悩や葛藤と向き合い、少しでも「その先」へ進もうとするリスナーの想いと響き合ってきたMr.Childrenの音楽の核心が、さまざまな角度から改めて提示された名企画だった。
まだまだ語られるべきエピソードは山ほどあると思うので、ぜひ「続・Mr.Children芸人」も観たい!と今から勝手に楽しみにしている。(高橋智樹)