[ALEXANDROS]の2年ぶりの『SONGS』に「世界一のバンド」までの距離の変化を見た

[ALEXANDROS]が、12月15日の23:00から放送されたNHK総合『SONGS』に2年ぶりに登場した。アルバム『EXIST!』のリリースを目前に控えた2016年10月27日に放送された前回は、デビュー前に路上ライブを行っていた代々木公園やメンバー全員で共同生活を行っていたという部屋を訪れるなど、彼らの原点を辿る内容だったことを覚えている。

今回の番組の冒頭、2016年の放送時に川上洋平(Vo・G)が言い放った「世界一のバンドに絶対なります」という言葉を聞いて、司会である大泉洋が「世界一ですか……デカいな」と率直な感想を呟いていた。その前回の放送から2年後、そんな彼らに大泉が訊いた「富士山で例えるとしたら今は何合目まで行っているか?」という質問に対して、川上は「まだ麓の樹海辺りじゃないですかね? でも一番になるまではもう何合もないと思いますし、気持ちはもう常にてっぺんですからね。それを思ってやらないとステージに立つ資格ないと思います」と答えていた。大泉のコメントを聞いて私自身も「そうだよなぁ、世界一ってデカいよなぁ」と思ったけれど、彼らにとっては2年前どころかバンドを結成したその時から「世界一」というのは理想ではなく「成し遂げるべき当然の事」であり、傍から見ればデカいことでも、彼らにはもっと身近なことなのだろう。

そして番組では、そんな彼らにとって大きな一歩である初のアメリカツアーや、日本での環境に慣れてきた故に感じ始めた「飽き」を払拭するべく刺激を求めて訪れたニューヨーク・ブルックリンで制作された最新アルバム『Sleepless in Brooklyn』についても触れていた。半年間に渡る海外生活の中で文化の違いをひしと感じることで、この場所での自分たちは「何者でもない」と悟った彼らは、「良い意味で武者震いがした」と語っていた。デビュー前には20人程の前で路上ライブを行ってきた彼らにとって、今回のアメリカツアーはその頃を想起させるものだったに違いない。その上で彼らが感じたのは、孤独感や怯えではなく、純真無垢な好奇心だということが当時を振り返るメンバーの表情からも見てとれたし、今作『Sleepless in Brooklyn』はその刺激が凝縮されながらもとても自由に鳴っている。「世界一と言ったからにはやる」という強迫的観念を抱えて動くことと「自分たちは世界一になれる」という自信を持って動くことは、似ているようで全く違う。[ALEXANDROS]は後者のスタンスで音楽を生み続けているバンドであり、その良い意味でラフな性格がある。だからこそ、「音楽をやっているのだったら、出来上がった曲が世界中の人に届かないとやっている意味がない」という考えのもと、例え未知の領域だとしても恐れずに飛び込めるのだろう。

さらにこの日は瓦礫や配線が剥き出しのクールなステージセットの中で行われた“ワタリドリ”、“アルペジオ”、そしてバンドの精神性を象徴する楽曲である“Mosquito Bite”のライブ演奏も披露され、現在行われているツアーも更に楽しみになる放送だった。それにしても、メンバーが食べていた焼肉は美味しそうだったな……。(峯岸利恵)
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