“スターゲイザー”MVでのSEKAI NO OWARI×平手友梨奈共演が描いた生と死/陰と陽のメッセージ

“スターゲイザー”MVでのSEKAI NO OWARI×平手友梨奈共演が描いた生と死/陰と陽のメッセージ
どこまでも運命的かつ必然的なキャスティングと言うべきだろう。
SEKAI NO OWARIが2月27日(水)に同時リリースする『Eye』、『Lip』のうち、『Eye』の最終曲として収められた“スターゲイザー”のミュージックビデオに、欅坂46・平手友梨奈が出演。その鮮烈な映像はすでに多くの方がご覧になったことと思う。

もちろん、背中合わせの光と闇を冷徹に描き切った楽曲そのものには、リリース当時から幾度となく衝撃と感激を呼び起こされてきたし、昨年の「INSOMNIA TRAIN」ツアーでも荘厳なまでの照明効果とともに体感してきた。
が、このミュージックビデオの存在によって、“スターゲイザー”という楽曲は生と死のポップアートとしての完成度を格段に高めるに至った――そんな実感を抱いたのは僕だけではないはずだ。


《それは/死体が腐敗していくように/学校へ毎日通うように/夫婦が一生添い遂げるように/花は摘めば枯れていくように》。
無機質に歌われる言葉が「日常風景」に死の影のコントラストを与えるように響く中、仲間とともにバイクで黒ずくめの少女(平手)の姿をMVの映像は描き出していく。
ヘルメット姿の仲間のバイオレントな振舞いを気怠そうに見つめる平手。そんなダーティなイメージと重なる《時々頭がおかしくなる普通の日常/stargazer》の言葉。
そんな中、ある瞬間をきっかけに少女の内なる違和感が抑え難く噴き上がり、衝動を激しく迸らせるように、あるいは焦燥感に苛まれ身悶えるように、月明かりを受けながら一心不乱の舞踏に身を委ねていく――。

MVの原案を手掛けたFukase自身による「最後のダンスシーンを観たとき、作詞作曲家でありながら言葉にならない気持ちになったのを覚えています。それは心温まるような、恐ろしいような、涙がこぼれるような、そういったものでした」というコメントが、壮絶な長編映画の如き重厚な余韻を残すこの映像のインパクトを何よりリアルに伝えている。

“スターゲイザー”がシングル『RAIN』のカップリング曲としてCDリリースされたのが2017年7月5日。NHK『SONGS』でSEKAI NO OWARI×平手友梨奈の対談がオンエアされたのは、奇しくもそのわずか3週間後のことだった。
当時16歳になったばかりの平手は、「大人は信じてくれないって思ってます」、「全部嫌いです」と、番組ホストのSEKAI NO OWARIも息を呑むほどまっすぐに語っていたのが印象的だったし、そんな平手の想いにSEKAI NO OWARIから“天使と悪魔”を贈っていた『SONGS』での対談は間違いなく、今回の“スターゲイザー”での「共演」の契機となった瞬間だったはずだ。

人間の矛盾も欺瞞も極彩色のポップとして時代の真芯に撃ち放つSEKAI NO OWARI。出口なき時代の苦悩を蒼くスリリングなパフォーマンスアートとして体現する平手友梨奈。それぞれの音楽とダンス越しに生命の輪郭を丁寧になぞるような、最高のコラボレーションだ。(高橋智樹)

“スターゲイザー”MVでのSEKAI NO OWARI×平手友梨奈共演が描いた生と死/陰と陽のメッセージ - 『Eye』『Eye』
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