FUJI ROCK FESTIVAL 7.28
THE CURE
ほぼ四半世紀ぶりの来日公演となった2007年、そして終演が深夜0時超え、3時間に及ぶ独擅場と化した2013年と、フジロックに出演するたびに伝説を刻んできたザ・キュアーが、ついに3度目の苗場降臨を果たす。しかも今年は彼らにとって重要な意味を持つ年だ。デビュー・アルバム『スリー・イマジナリー・ボーイズ』から40年、歴史的名盤『ディスインテグレーション』から30年の節目となるアニバーサリー・イヤーであり、「ロックの殿堂」入りを筆頭にメモリアルなイベントが目白押しなのはもちろん、この2019年は単に彼らのレガシーを讃えて終わる年ではない。何よりも実に11年ぶりのニュー・アルバムの発表が予定されている年なのだ。
米『ローリング・ストーン』にロバート・スミスが語ったところによると、彼らのニュー・アルバムはクイーンの“ボヘミアン・ラプソディ”がレコーディングされたことで知られるロックフィールド・スタジオで制作され、今秋のリリースが予定されている。10分の大台を超えた新曲が複数あることから「3枚組か?!」なんて憶測も飛んでいたけれど、最終的には1枚にまとめる予定とのこと。ちなみにその内容はダークかつアグレッシブで、「フェスには向いていない」と彼らは言っているが、そもそも「フェス向きのキュアー」という概念自体に矛盾があるので無問題だ。キュアーがフェスに適応するのではなく、いつだってフェスがキュアーに染まってきたのだから。真っ赤に焼かれたナイフで氷塊を溶かし切っていくようなゴスやポスト・パンクから、涙でベトベトに溶けた綿菓子のようなギター・ポップまで、キュアーの尋常ならざる振れ幅は祝祭としてのフェスの枠組みから常に逸脱した逆さまの世界の産物であり、「僕は今なお破滅的で陰気」だと語るロバート・スミスが司る孤高の時間であり、空間であり続けてきたからだ。
目下精力的にフェス出演を続けているキュアーだが、最新セットでは平均して30曲弱がプレイされている。2013年のフジでの36曲と比較すれば、コンパクトにまとめている印象だ。ちなみにヘッドライナーとして出演したグラストンベリーの模様が伝えられているが、フジと同条件(最終日のクロージング・アクト)であるグラストが、苗場の雛形になるのは間違いだろう。 (粉川しの)
JASON MRAZ
来日公演は2014年以来の5年ぶり。昨年リリースされた『ノウ。』は、フォーキーでソウルフルなこれまでの作品の中でも最上級の心地好さ。まさに夏に聴きたい楽曲が満載。リリース前のアルバムのプロモ・イベントでの来日こそあったものの、バンド・セットでのライブを望む声は大きかった。最新曲だけでなく代表曲“アイム・ユアーズ”も演奏されるだろうし、ぜひシンガロングで応えたいところ。オーガニックでピースフルな時間が待ち遠しい。 (杉浦美恵)
JAMES BLAKE
様々な意味でファースト以来の一大転機作となった『アシューム・フォーム』を経たジェイムス・ブレイクが、自身の道のりと現在地をどのように繋いでみせるのか。最大のトピックはそこだろう。新たな音の語彙によって、より広い場所に向けて開け放った彼のエモーション。それはまだ日本のオーディエンスが体感していないものだ。2010年代における最重要音楽家のひとり、そのメロウだが優しい歌は、3日間の美しい締めくくりとなるに違いない。 (木津毅)
●フェス情報
「FUJI ROCK FESTIVAL'19」
2019年7月26日(金)・27日(土)・28日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
9:00 開場 11:00 開演 23:00 終演予定
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現在発売中の『ロッキング・オン』8月号では「FUJI ROCK FESTIVAL '19」の注目アクトをたっぷりご紹介! こちらもあわせて、夏フェスに備えてほしい。