『アビイ・ロード』50周年! 最終章でも破格の輝きを見せつけたザ・ビートルズ、奇跡の「ラスト・アルバム」に新たな光を当てる62P総力特集

『アビイ・ロード』50周年! 最終章でも破格の輝きを見せつけたザ・ビートルズ、奇跡の「ラスト・アルバム」に新たな光を当てる62P総力特集 - 『rockin'on』2019年11月号より『rockin'on』2019年11月号より

ジョンも僕も、途中までしかできてない曲がたくさんあったんだ。それぞれ完成させるか、あるいは繋げるしかなかったんだよ。スクラップを全部集めて、一緒に入れてどんな感じにくっつくか。それをレコーディングしてみたらすごく面白かった。クロスワード・パズルみたいな感じになってさ(ポール・マッカートニー)


「トンネルを抜けつつあった。またみんなで集まって、よくわかってるやり方に戻って、すごく嬉しかったんだ」。ポール・マッカートニーは、『アビイ・ロード』のレコーディングをこのように振り返っている。

しかしザ・ビートルズの実質的ラスト・アルバムとなった本作は、突っ込もうと思えばいくらでもできてしまう危うさを孕んでいる。

69年初めの「ゲット・バック・セッション」が悲惨な結果に終わり、仕切り直してジョージ・マーティンを説き伏せ制作が始まったが、2人か3人の時は和やかなのに、4人揃うといきなり空気は張り詰め、ささいなことから諍いが起こった。ジョンもポールも途中までしかできていない曲がたくさんあって、苦肉の策でクロスワード・パズルのようにそれらの断片を繋ぎ合わせるしかなかった。

とはいえ、彼らのうちにはなんとかもう一作、納得できるものを仕上げたいという思いだけは強烈にあった。それゆえに、『ホワイト・アルバム』ではほとんど無かった4人のアンサンブルが、『アビイ・ロード』では「よくわかってるやり方に戻って」実現したのである。

考えてみてほしい。

1957年7月、ウールトンの夏祭りで2歳年上のジョン・レノン率いる「クオリーメン」を観た15歳のポール・マッカートニーは、共通の友人を通じてジョンに紹介され、まもなくバンドに加わった。ロックとポップの歴史を突き動かした2人の天才の絆は、痛ましいほどの波乱を抱えながら13年も続いた。

奇跡でなくて何だろう。強引に例えればモーツァルトとベートーヴェンが、或いはピカソとダリが、13年も共作していたという話なのだ。

そしてジョージは、ジョンとポールの高みに並ぶ“サムシング”と“ヒア・カムズ・ザ・サン”を生み出し、モーグ・シンセサイザーによるサウンド・イノベーションを牽引した。リンゴは、“オクトパス・ガーデン”で持ち味を発揮しながら、アルバム全編で圧巻のグルーヴを叩き出した。そしてジョンとポールの「苦肉のクロスワード・パズル」は、ロック史上で最も美しいメドレーに化けた。

数えきれない軋轢を引きずりながらも、ロック史に聳え立つ永遠不滅の傑作『アビイ・ロード』。その50周年記念エディションのリリースを機に、彼らの完全ディスコグラフィーを含む62ページの総力特集を組むことができた。ザ・ビートルズとはいったい何であったのか、必ず納得してもらえると思う。(茂木信介)



また、ザ・ビートルズ『アビイ・ロード』50周年総力特集には、以下のコンテンツが掲載されている。

★ポールの証言を中心にレコーディングの真実に迫った決定的ドキュメント
★『アビイ・ロード』誕生のストーリーとその考察
★50周年記念盤をリミックスしたジャイルズ・マーティン単独インタビュー
★50年後の『アビイ・ロード』徹底再検証
★ザ・ビートルズ全13作品 完全ディスコグラフィー
★奥田民生、『アビイ・ロード』の魅力を語り尽くす!




ザ・ビートルズ『アビイ・ロード』の巻頭特集記事は現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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