トゥール @ LAステイプルズ・センターのライブレポート公開!

トゥール @ LAステイプルズ・センターのライブレポート公開! - pic by 鈴木美穂pic by 鈴木美穂

8月にリリースしたニュー・アルバム『フィア・イノキュラム』を引っさげ、現在北米ツアー中のトゥールだが、同ツアーより現地時間10月20日にロサンゼルスのステイプルズ・センターで行なわれた公演のライブレポートが公開された。



トゥールは、孤高のライブ・バンドである。それを改めて痛感したショウだった。全米1位を獲得した13年ぶりの新作『フィア・イノキュラム』の名を冠した北米ツアー。彼らの地元ロサンゼルスの公演は約1万8000人収容のステイプルズ・センターで行われ、2夜連続で完売となった。その初日に会場を訪れると、「写真、ビデオ撮影は禁止です。撮影した者は退出させます」とのアナウンスが繰り返された。通常のコンサートではあり得ない警告だが、チケットにもそれが明記してある。

9時過ぎ、神秘的なイントロのサウンドが流れ始めるのと同時に、ステージ全体を覆う無数の鎖状のカーテンがスクリーンになり、そこに怪物の顔の映像が映し出された。オープニング曲は新作のリード・シングル、“Fear Inoculum”だ。熱狂的な歓声が響き渡り、スクリーンの映像が終わって4人に照明が当たる。不穏な空気を醸し出すヘヴィなサウンドをメイナード・ジェイムス・キーナンの鮮やかなボーカルが貫くと、広大な会場は一瞬にして異世界に塗り替えられ、観客達は吸い込まれるように曲に没入した。

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トゥールの音楽の特異性は周知の通りだが、ステージ上のフォーメーションも特殊である。アダム・ジョーンズ(G)とジャスティン・チャンセラー(B)がフロントに立ち、背後の中央にダニー・ケアリーのドラム・セット、その左右にメイナードが立つ高台がある。モヒカンで、赤いジャケットに黒チェックのパンツ姿のメイナードは右の台の上で怪しく体をくねらせている。そして後方の巨大スクリーンに、グロテスクな映像が流れている。

「俺達は今もここにいるぜ、ロサンゼルス!」とメイナードは言い、颯爽と左側の台に移動した。そして、“Ænema”に突入。さらに“The Pot”、“Parabol”、“Parabola”と続けて遂にカーテンが開き、次に再び新曲の“Pneuma”に雪崩れ込んだ。 

11分もあるこの曲を含め、トゥールの曲の多くは非常に長い。しかも“Pneuma”に続く“Schism”は、CDより長いバージョンが披露された。しかし特にライブでは、彼らの曲は全く長さを感じさせない。4人がその超人的なパフォーマンスで、文字通り一体となって曲を築き上げていく様を見ながら、その曲の世界に強烈に引き込まれていくことになるからだ。人間業とは思えない壮絶なドラム、時にメロディも奏でる強靭なベース、リズム隊と一体化してリフを刻む異色のギター、そして不気味な低音からメロディアスな高音までを自在に操るボーカルーー多くの面で変則的でありながらも全ての音が必然としてそこにあり、4人がお互いの演奏をフィードバックさせながら無から有を生み出していく様が目に見える。そして曲の最後に、完全に一体となった彼らが、曲を同時に爆発させて終えるのだ。

この新奇な世界に全身で浸かる快感と陶酔感は、トゥールのライブでしか得られない。曲毎に様変わりする超現実的な映像やライティングも圧倒的ではあるが、それらは4人の神々しいほど偉大なパフォーマンスにさらなる色彩を加えるための要素に過ぎない。トゥールが孤高の存在であり続けるのは、この4人のパフォーマンスゆえだ。だから10年以上待っても待つ甲斐があるし、何度でも観たいと思わされる。

トゥール @ LAステイプルズ・センターのライブレポート公開! - pic by 鈴木美穂pic by 鈴木美穂

ショウの後半、約10分の休憩を挟んで、まずステージに登場したのは巨大なゴングだった。ダニーがゴングを叩いて幻想的な雰囲気を創出した後、見事なドラムソロを披露。それから新作の“Chocolate Chip Trip”と“ Invincible”が披露された。そして、ラスト曲の“Stinkfist”を演奏する前に、メイナードは嬉しそうにこう言った。「ロサンゼルス! いつも通り最高。お前達は素晴らしかった! 次の曲は好きに写真を撮ってくれ」、「ありがとう、グッドナイト!」。トータルで約2時間、新曲4曲を入れた全14曲。全ての瞬間が圧倒的で、とてつもない何かを体験したという思いが私の全身を包んだ。

止まない拍手と大歓声の中、メイナードは客席に手を振るジャスティンの背中に駆け寄り、彼の股の下に手を入れてふざけてみせ、走り去った。残る3人はその後もしばらく手を振り続け、お互いに堅い抱擁を交わしてステージを後にした。彼らにとっても大満足の一夜だったに違いない。(文:鈴木美穂)



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