でんぱ組.incが10年にわたって群雄割拠のアイドルシーンで「萌えきゅん」な異彩を放ち続ける5つの理由

でんぱ組.incが10年にわたって群雄割拠のアイドルシーンで「萌えきゅん」な異彩を放ち続ける5つの理由
秋葉原を拠点に活動するアイドルグループ・でんぱ組.inc。前身グループを経て、2009年にでんぱ組.incとなって以降、2014年には日本武道館公演を成功させ、翌年にはワールドツアーを開催するなど、日本を飛び出し海外でも人気を集めている。
この記事では、入れ替わりの激しいアイドルシーンの中で、今なお独自のルートで走り続けているグループの魅力を5つのテーマに分けて考えてみたい。


①めまぐるしい展開&中毒的な早口でんぱソング

ライブ&バー「秋葉原ディアステージ」出身の彼女たちは、「萌えきゅんソングを世界にお届け」をキャッチフレーズに活動。様々なタイプの楽曲を持つでんぱ組.incの中でも、デビュー当時から一貫されているのは、BPM速めの曲に情報量の多い歌詞を乗せ、メンバー十人十色の個性的な声色で歌われる唯一無二の「でんぱソング」だ。中でも、 “でんでんぱっしょん”など多くの代表曲を手掛けており、グループにとって欠かせないコンポーザーであるWiennersの玉屋2060%による提供曲はその特徴がもっとも色濃く出ていると言っていいだろう。“サクラあっぱれーしょん”、“プレシャスサマー!”、などに見られる、1番のサビ終わりと曲の最後のサビ終わりに転調され、もう一段階聴き手を盛り上げる構造はサービス精神旺盛なでんぱ組.incの楽曲の最たる例だ。
また、その流れを汲んだ中で今年、さらに進化を見せた楽曲といえば、清竜人による提供曲“子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡”だろう。


カラフルな音使いがされたトラックをバックに、まさに「早口言葉」並みの歌いだしはインパクト大。聴いているだけで元気をもらえるような楽曲たちだ。

②まるで劇を見ているような個性的で激しいダンス

メンバーは「でんぱ組.incはライブが命」といった類の発言を度々しており、ライブを観てもらえれば大丈夫、という自信を持っている。実際、その振り付けもまたユニークだ。デビューから多くの楽曲を、メンバーの古川未鈴が直々にオファーしたYumikoが振り付けており、曲の持つストーリーや世界観を現した踊りはファンであるかどうかの前に「作品」として惹きつけられるものばかり。例えば“Dear☆Stageへようこそ♡”では楽曲に出てくる「田中」という人物を眼鏡をかけていることで表し、その眼鏡をメンバー一人ひとりが立ち代わりにかけていくことで曲の世界を表現。“でんでんぱっしょん”では、新体操のリボンを巧みに操り、“キラキラチューン”では1曲の中でメンバー同士が喧嘩をして仲直りするまでを「振り付け」として詰め込んでいたり、と挙げればキリがないほど曲ごとに、観客の目を留めさせるフック的な役割をする動きが入っている。踊りの概念にとらわれない「劇」のようでありながら、複雑で激しいダンス。メンバーそれぞれが違う動きをすることも多く、ステージの隅から隅まで楽しめるため、でんぱ組.incのライブは何度観ても飽きない。

③ライブにおけるファンとのインタラクティブなつながり

そんなライブにおいて、ファンとのインタラクティブなつながりは、ほかのアイドルに比べても目を見張るものがある。曲でのコールや、サイリウムを振る「オタ芸」など、ライブ定番曲であればあるほど、会場での一体感が凄い。規模が大きくなると、こういった一体感は薄くなってしまいがちなものだが、会場が小さいライブハウスでも、大きなホールでも、決してファンの掛け声など熱量が変わらないのは、前述のようにお客さんと距離の近い店舗発のアイドルであるところの強みだろう。
“キラキラチューン”ではファンが考えた間奏での口上が自然に広まっていき、現在では曲中、スクリーンに口上の文言が「公式」に映し出されたりと、メンバーやスタッフとファンとの間には独自の素晴らしい信頼関係が成り立っている。

④若手クリエイターとのコラボ・こだわりの衣装やアートワーク

でんぱ組.incは結成当初から、MIKIO SAKABE(ミキオサカベ)による衣装や、ファンタジスタ歌磨呂によるアートワークなど、様々なクリエイターとのコラボで「アキバカルチャー」を体現してきた。そうして作り上げた唯一無二の世界観によって、女性ファンが多いのもでんぱ組.incの特徴の1つだろう。グループの結成に携わったもふくちゃんこと福嶋麻衣子がプロデューサーに戻ってきた2019年は再び、新しさや面白さを追求していく傾向が強くなり、シングルのカップリングにバンド・ニガミ17才や当時15歳のシンガーソングライター・諭吉佳作/menが楽曲を提供。“いのちのよろこび”のアートワークでは「原始でギャル」な風貌でファンを驚かせると、“子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡”では、90年代のファッションを完コピしたアートワークがSNSなどで話題に。常に面白いことを考えながら、隅々までこだわり抜くでんぱチームのセンスに、ファンはいつまでも惹かれてしまうのだ。

⑤夢を叶えてきた物語性

2012年9月に恵比寿リキッドルームでのワンマンライブでメンバーの古川は「この6人で武道館に行きたいです」とファンの前で宣言。その約2年後、2014年5月に見事、店舗系アイドルとして初の武道館公演を成功させた。ライブ活動の休止やメンバーの脱退を経て、2017年末には「でんぱ組に憧れてアイドルを始めた」鹿目凛と根本凪が新メンバーとして加入。グループの活動が実を結び、次のフェードに突入したように一ファンとして感じた。先日、メンバーの古川はステージで結婚を発表。これも、長い活動と努力によって祝福された素晴らしい発表だ。古川による《いじめられ 部屋にひきこもっていた》から始まる“W.W.D”の歌詞に代表されるように、メンバー全員が辛い過去を持っていたり、そしてなにかのオタクであったりするが、それも含めて新しいアイドル像をつくり、前例のない道を通って夢を叶えてきた物語性がでんぱ組.incにはある。強く影響を受けた結果、冗談のように「『プリキュア』のお姉さんだよ」と言っていたメンバーの成瀬瑛美は今年、本当に『プリキュア』の声優として活動。キャラクターが先行して勘違いされがちだが、でんぱ組.incは「ダメな自分」を肯定してきたグループではない。常に変わろう、抜け出そうともがく姿を見せてきたグループだ。だからこそ、メンバーそれぞれがでんぱ組.incの活動を通じて夢を叶えていく姿に、ファンは強く感動し、勇気をもらえるのだ。

なお、本日12月4日(水)に発売されるLIVE Blu-ray/DVD『UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL』でも、この5つの魅力をしっかり堪能できる。気になる方はぜひチェックしてみてほしい。(菊智太亮)
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