BiSHも所属する「WACK」、その沼に今まさにハマりかけているあなたに贈る大解説

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BiSHの人気が揺るぎないものとなった2019年。様々な音楽フェスに引っ張りだことなり、音楽番組はもちろん、バラエティー番組への出演も重なって知名度が一気に高まり、メンバー各々の活躍も目覚ましい。この1年くらいの間で「BiSHって、かっこいい!」と、ハマってしまった人は、たくさんいると思う。そういうみなさんは、BiSHの活動に触れる中で「WACK」という文字も、度々目にしているはずだ。少し調べれば「WACKとは、BiSHが所属している芸能事務所なのだな」と、すぐにわかる。しかし……「どうも単に事務所というだけではない感じもするんだよなあ」という匂いを感じている人もいるのでは? そういう皆さんは、楽しい世界の扉を開く鍵を手にしていると思ってもらって間違いない。この点について具体的に説明する前に、WACKに関する基本情報を、ざっと紹介しておこう。

株式会社WACKは、2014年8月に設立された。代表取締役は渡辺淳之介。BiSHのインタビューの中で必ずと言っていいほど名前が出てくる「渡辺さん」とは、プロデューサーでもあるこの人物のことだ。もともと彼は「つばさレコーズ」の社員であり、BiSを手掛けていたが、同グループが解散したタイミングで退社して自身の会社を立ち上げた。GANG PARADEの前身グループ「プラニメ」や、サウンドプロデューサー・松隈ケンタなどの所属事務所として始動したWACKの大きな転機は、2015年1月。「BiSをもう一度始める」という宣言の下でメンバー募集が始まり、結成されたのがBiSHであった。WACKに現在所属しているのは、BiSH、GANG PARADE、BiS、EMPiRE、CARRY LOOSE、新人育成枠のWAgg、音楽制作チームSCRAMBLESを率いて各グループの楽曲を手掛けている松隈ケンタ。

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……といった感じが、基本的なところだろうか。では、いよいよ本格的な話に入るとしよう。WACKの特徴を最もわかりやすく示すならば「クレイジー! どうかしている!」ということに尽きる。なにしろ打ち出す様々な企画、所属アーティストのプロデュースの仕方、プロモーション展開など、あらゆることが型破りで、観客の度胆を抜き続けているからだ。このような会社となるに至った背景として触れておかなければいけないのが、先ほどから何度も名前が出てきているBiS。「BiSが解散したって言ってるけど、今も活動してるじゃん。どういうこと?」とか「BiSってBiSHと関係あるの?」という点で混乱する人が意外と多いようなので、この点についても改めて整理しよう。

まず、BiSには第1期、第2期、第3期がある。ソロシンガーだったプー・ルイを中心として2010年に結成されたのが、第1期BiS。2014年7月に解散するまでの活動の中で繰り広げられた出来事の数々は、WACKの原型だ。メンバーがスッポンポンで大自然の中を駆け巡ったMV、ハードコアバンドもビビるくらい過激だったライブパフォーマンス、「食事は白米のみで車移動&車中泊」という過酷さによってインフルエンザで倒れるメンバーが続出したツアー、満身創痍となった24時間イベントや100kmマラソン、ノイズバンド・非常階段とのコラボレーション、コシノジュンコの加入、「ハグ会」、「ケツバット会」、「罵倒され会」、「ローション握手会」といった特殊な特典会……クレイジーな伝説は、挙げ始めるとキリがない。そして第1期BiSの解散後、2016年に始動したのが第2期BiS。今年の6月から始動して現在に至るのが、第3期BiSだ。


また、「BiSってBiSHと関係あるの?」ということについてだが、もちろん関係は大いにある……というか、両者は不可分と言うほかない。BiSで培われたプロデュース手法を濃厚に反映しつつ、第1期BiSの活動の中での反省点も活かしたグループが、2015年に結成されたBiSHなのだから。MV撮影でメンバーがウンコまみれになったり、歌詞にエッチな言葉が盛り込まれていたり、過酷な24時間イベントを行ったり、新曲を楽しみにしてダウンロードしたら歌っているのが渡辺さんだったり、ゲリラリリースや突然のプロモーションイベントが行われたり……といったBiSHのブッ飛んだ部分には、第1期BiSから継承された遺伝子がうごめいている。


そして、この「第1期BiSの遺伝子」は、WACKの他のグループに関しても言えることだ。第1期BiSのメンバーだったカミヤサキが所属していて、長い不遇の時代を経ながらも、最近人気急上昇中のGANG PARADEに、「第1期BiSが、もしかしたら辿り着いたかもしれない未来」を感じ取っている人は、少なくない気がする。「負けるもんか!」というガムシャラなエネルギーを、10人のメンバーがポジティブにスパークさせるライブパフォーマンスは、本当に素晴らしい。WACKとエイベックス・エンタテインメントの共同プロジェクトであるEMPiREは、BiSHの活動によって洗練されたWACKのプロデューススタイルを、より進化させたグループと言っていいだろう。クラブミュージック的なエッセンスと、ロックの骨太さを融合させた楽曲、スタイリッシュさが漂うアートワークや映像など、新鮮な作風が、活動を重ねる毎に深まっている。今年始動したCARRY LOOSEは、第2期BiSのメンバーだったパン・ルナリーフィ、YUiNA EMPiREが所属しているので、まさにBiSの直系グループ。メンバー各々のキャラクターのアクの強さ、書く歌詞のユニークさ、振り付けのキャッチーさが既に大いに光っている。新人育成枠のWAggは、GANG PARADEに加入したナルハワールド、CARRY LOOSEに加入したウルウ・ルを輩出している。正規メンバーとして活躍する逸材が、今後も生まれるだろう。そして、第3期BiSが、第1期BiSの要素をダイレクトに受け継いでいるのは言うまでもない。


ところで……持ち味は多彩で、各々ならではのものがありながらも、「第1期BiSの遺伝子」という何処か共通した香りも漂うWACKのグループを気にしだすと、どのようなことになるのか? それは、「BiSHもGANG PARADEもBiSもEMPiREもCARRY LOOSEもWAggも、全部好きになっちゃう」という現象だ。アイドルヲタ用語で、「グループのメンバー全員を応援する」という行為を「箱推し(ハコオシ)」と称するが、WACKのひとつのグループのメンバー全員どころか、姉妹グループの全員という巨大な箱推しをするようになっている人は珍しくない。それどころか、「WACK自体が好き」と言っても良いくらいの人も、たくさんいる。この事務所の動き自体も、ワクワクさせられるエンタテインメントであり、ひとつのカルチャーとでも言うべきものを形成しているから、こういう現象が生まれているのだろう。魅力にのめり込んで元の世界に帰れなくなる様を示す「WACK沼にハマる」という表現も、すっかり定着している。


WACKの面白さが最も端的に表れているのは、春に行われるのが恒例となりつつあるWACK合同オーディション合宿だ。現役メンバーも含む参加者が奮闘する様がニコニコ生放送で中継されるので、毎年、この期間は仕事に集中できず、私は非常に困っている……。「まだ何もしていませんが、先に謝罪しときます。私たちは間違えます。」をコンセプトとして昨年6月に展開された「先に謝罪キャンペーン」も愉快であった。SHIBUYA109壁面の大型広告、所属グループのメンバーによる「謝罪本」のゲリラ街頭配布、「ごめんなさい! ごめんなさい!」と謝罪しながら道端で土下座する制服姿の女の子たちによるパフォーマンスは、通りすがりの人々の大半にとって謎だったに違いない。今年の6月に行われた「◯◯◯と言える世の中を〜WACK愛と勇気と100万円〜」の記憶も、鮮やかによみがえる。渋谷東急の壁面に掲出された広告のQRコードを読み取ると、WACKの社是を提案できる――という内容だったこのキャンペーンで選ばれたのは、「ちんこと言える世の中を。」。タブーとされていることを疑い、萎縮せず、過激であってもユーモアを決して忘れないWACKらしい社是だ。「ちんこ!」と胸を張って言える姿勢は、今後も貫かれていくだろう。

WACK沼の住民にとって非常に楽しみな企画が、先日発表された。WACK所属アーティストによる全国7都市9公演「WACK TOUR 2020 “WACK FUCKiN’PARTY”」が、2月8日(土)に宮城の女川町生涯学習センターホールを皮切りに行われるのだ。「全公演WACK所属アーティスト全グループにて回らせていただきます!」とアナウンスされているので、WACK沼にすっかりハマっている人々が、取り返しのつかないくらい、さらにズブズブと呑み込まれていくツアーとなるのだろう。この世界に興味があるという人は、最初に好きになったWACKのグループだけでなく、姉妹たちの楽曲やMVなども積極的にチェックする習慣を身に着けた方がいい。「なんで、今まで聴いてなかったんだろう!」、「このグループも好き!」、「楽しみが一気に広がっちゃった!」ということに自ずとなるはずだ。(田中大)
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