『きのう何食べた? 正月スペシャル2020』に泣いた

自分にとって大切なことを守りながら生きることは簡単ではないけれど限られた人にしかできないことでもない。
その気になればきっとみんなできる。
『きのう何食べた?』はそれを教えてくれる物語。
そのためには、シロさんのように繊細な工夫と配慮を忘れず、逆に要領が悪いくらい真面目に自分のスタンスを貫くこと。
あとは、ケンジのように感情に正直なありのままの姿で、自分にも人にも優しくあり続けること。
とは言え、それができたとしても、いろいろ問題だらけなのは仕方ないのが人生。
あとは丁寧に美味しいものを作って好きな人と一緒に味わって食べる時間を大切にして、元気な心と体で明日を迎えることだ。
男性同士のゲイのカップルを当たり前の日常のところまで描くという意味で踏み込んではいるけれど、誰もが自分の中にある、常識に流されずに大切にしたいものに置き換えながら心の栄養にできるような作品。
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これは昨年の4月期に連続ドラマとして、よしながふみのコミック『きのう何食べた?』がドラマされた時に書いたコラム。
1クールが終わるまでこの最初に書いた感想は変わらないまま強まるばかり。
本当に終わってしまうのが残念だった。
そして2020年の元旦に3章仕立てで帰ってきたスペシャルドラマ。
久しぶりに工夫と知恵と程よい手間暇、そして愛情のこもった料理を大切な人と一緒に食べたみたいに、その物語の温かさが心の五臓六腑に染み渡って涙が出てしまった。
この作品が描いている大切なことをいつも忘れずにいたいけど、忙しない毎日とか、容赦ない現実などの中でやっぱり忘れがちになってしまう。
もちろんコミックでもその世界に触れ続けることができるけれど、ときどきこうやって動いて実際に料理を作ったりもするシロさんとケンジや、小日向さんとジルベールたちに帰ってきてほしい。
2020年のはじめに、この3章の物語を通してちゃんと「ありがとう」とか「ごめんな」とか心からの笑顔を大切にしながら、身近にいる人たちと味わい深く年を重ねていきたいと思えて良かった。(古河晋)
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