ザ・ホワイト・ストライプス、世界一不可思議な「姉弟」の真実――『イッキー・サンプ』の時代に語られた、ブルースを蘇らせる奇跡のすべて

ザ・ホワイト・ストライプス、世界一不可思議な「姉弟」の真実――『イッキー・サンプ』の時代に語られた、ブルースを蘇らせる奇跡のすべて - 『rockin'on』2020年6月号より『rockin'on』2020年6月号より

僕たちについて書かれたことでたぶん一番気に入っているのはね——ザ・ホワイト・ストライプスは『世界一リアルで、同時に世界一フェイクなバンドだ』というやつだよ


2000年代初め、US音楽シーンを巨大なポップ・ミュージックが占拠し、ロック・バンドが自信を喪失していたころ。凄まじい雷が落ちたかのように突然始まったのがUSインディ・ロックのムーブメントだった。今振り返ると奇跡のようだったその革命から、2020年は、ほぼ20年という記念すべき年となる。

そのムーブメントの中心的な存在のひとつが、デトロイトから登場したジャックとメグの“姉弟”によるザ・ホワイト・ストライプスだ。赤白のキャンディ・ケインのデザインと5歳の子どものようなイノセントさで登場した2人のルックスは、当時NYインディ・シーンで主流だったスリム・ジーンズにコンバースを履いたヒップスター達によるリバイバル・ムーブメントと違い、自分達は異端であると最初から主張していた。

実際彼らはそのルックスとは真逆でヒップであるには本物すぎたとも言える。ジャックは、最も衝撃を受けたのは、サン・ハウスの“Grinnin’ in Your Face”だとよく語るが、それは彼にとってブルースが「最もピュアな形での真実」を描いていたからだった。

たったふたりという最小限の人数でしかもベースレスにしたことで既成概念を破壊し「銃が突きつけられたような」心境に自らを追い込むことで、彼らは真実を追求してみせた。しかも、これまで誰もが聴いたことがないようなブルースを2000年代のリアルとして鳴らそうとしたのだ。ジャックは「アクシデントよりリアルなことはない」とよく言うが、セットリストを作らないことや、意図的にチューニングしにくいギターを使うことで、ソロになった今も一貫してあらゆる方法で自分を極限に追い込み、そこから本物をそして真実を掴み取ろうとしている。

例えば、現在の新型コロナ禍のさなか、彼が何をしているのかと思いきや、以前にやっていた家具の修理をしていて、壊れたソファを美しく蘇らせ、そこにギターを繋げて弾いていたので、もう仰天! 「僕はいつも無から美を生み出そうとするが、今回はかつて美しかったものを新たな美に作り変えようとした」と語っていた。それこそジャックの美学そのものだ。古の美を再構築し、驚きとともに新たな美を生み出す。尽きることのないハングリー精神で、今もこの世界の最前線に立ち、2020年代に聴くべき「ブルース=真実」を追求し続けているのだ。 (中村明美)


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