「唐突にスランプに陥っちゃって、あたしだけ何にも思い浮かばないまんま、独りぼっちでそこに座り込んでたの、超負け犬気分で」
弱冠17歳でデビュー作を発表し世界を席巻したビリー・アイリッシュ。史上最年少でグラミー賞主要4部門を受賞する成功は奇跡的とも言えるが、同時にビリーと兄のフィニアスの正しい判断と強い意志の賜物でもある。このテキストでも語られていることではあるが、何より重要だったのは、有名プロデューサーを多数起用する曲作りのトレンドに逆らい、レーベルの提案も「ノー」と断り、たった二人でアルバムを完成させたこと。デイヴ・グロールも「彼女の音楽は形容できない。『本物である』としか言いようがない」と早くから絶賛していたように、それもビリー自身が語っていたが「私はポップ・ワールドにも、オルタナ・ワールドにも属したくない。ヒップホップ・ワールドにも、R&Bワールドにも属したくない。それ以外の音楽を作りたい。誰かにどんな音楽が好きか?と訊かれたら、『ビリー・アイリッシュみたいな音楽』と言ってもらえるようになりたい」とそれを目標にした結果だ。ここでは、兄との曲作りについて語られている。「ビリー・アイリッシュ」という唯一無比の存在がいかに誕生したのかその神秘のひとつが解き明かされる貴重なインタビューだ。(中村明美)
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