「人生があまりにも楽しいんでね。俺はシャンパン・ソーシャリストで、恵まれた立場を享受しながら体制批判してるっていう(笑)。その生き方を楽しんでるのは事実」
原点回帰、と言うのは簡単だが、U2のように重すぎるほどのさまざまな荷物を背負ってしまったグループにとって、それを実行に移すのは容易じゃない。音楽的な冒険に加え、世界の武装対立、人権問題、アフリカ等の貧困、環境問題等々、すべてを解決する魔法の杖を持つわけもなく、飛び回るほど疲弊していくが、打ちひしがれることなく向き合い続けることができるのは、このバンドだからこそと、改めて戦い続行を宣言してみせたのが『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』だった。
なぜそれほどまで、と言われながらもファイトし続ける真意を、ここでは素直にボノが語ってみせている。地元ダブリンで、リラックスしながら「今、俺が必要としているのは直接的な表現であり、そこから伝わってくる正直さであり、ユーモアだ」と話す言葉には絶対の自信が溢れかえっているし、それを支えるのが76年のパンク・ロックの精神だ、という言葉に勇気づけられた人も多いに違いないだろう。そこから20年、今も何も変えること、ブレることもない男の原点を強く伝えてくれるインタビューだ。(大鷹俊一)
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