「究極のロック・ドラマー」に選ばれたアーティストはこちら。
シーラ・E(プリンスなど)
突然だけど、シーラ・Eの「E」って、何の略だか知っているだろうか? 正解は「エスコヴェド」――そう、彼女の父親は、ラテン・ジャズの世界で有名なパーカッショニスト、ピート・エスコヴェドである。幼い頃に彼女の周りにいた親戚もほとんどがミュージシャンだったそうで、確かにシーラの圧倒的「リズム愛」には、そんな「音楽一家」で育ったがゆえのスクスクとした健やかさが一貫してあるように思える。江戸っ子のお祭り好きの子供がそのまんま太鼓叩きの達人になっちゃったみたいな人生で、だからこそ、いくつになっても凛々しいんだ。
シーラ・Eの代表作はと言えば、もちろん、80年代前半のプリンスとのコラボ作だろう。84年の『グラマラス・ライフ』も、85年の『ロマンス1600』も、ファンク・ポップのアルバムとして、今聴き直しても普通にかっこいい。プリンスもきっと本気で惚れてたんだろうな。
日本の音楽界にもファンが多く、90年代の後半には、安室奈美恵のツアーに参加していた時期もあった。00年代にはリンゴ・スターのオール・スター・バンドにも参戦。「ドラム・テクの格差ありすぎ問題」をリンゴが自虐的にいじっていたのも、今となってはいい思い出だろう。60歳を過ぎた今なお、ちゃきちゃきの現役アーティストであるシーラ・E。そして言うまでもなく、まだまだセクシーである。(内瀬戸久司)
ロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ギタリスト」特集掲載号は、5月7日発売です。ご予約・ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。