テーム・インパラ、デビュー作の全曲再演ストリーミング・ライブ開催! ケヴィンのシャイで閉じた世界が外へ広がり、コラボを通じて成長したポジティブさが感動的だった

テーム・インパラ、デビュー作の全曲再演ストリーミング・ライブ開催!  ケヴィンのシャイで閉じた世界が外へ広がり、コラボを通じて成長したポジティブさが感動的だった

ドリーム・ロックを更新し、シーンを活性化させた「真夏の蜃気楼サウンド」ことテーム・インパラのデビュー作『インナースピーカー』発売からなんと10年以上。コロナ禍で1年遅れになったものの、3月のアナログ限定記念再発に続いて4月21日に全曲再演ストリーミング・コンサートが開催された。

バンドとファンが一堂に会して祝うわけにいかなかったのは本当に残念だ。だが、会場になっのはオーストラリア南西部の浜辺に建つ別荘兼スタジオのWave House。『インナースピーカー』の主要レコーディング場所(『カレンツ』の一部でも使用された)、すなわちモダンなひとりサイケデリアの金字塔のひとつが生み出された現場をバーチャル体験できるのはたまらないし、インド洋の青を一望できる絶景、しかも日暮れ時のマジック・アワー開演とお膳立ては完璧だった。

エコーにどっぷりと浸かった“It Is Not Meant To be”のイントロが波状に広がるだけで心の時間が巻き戻るが、ケヴィン・パーカーが全自演するスタジオ音源とは異なりバンドとの演奏は随所に噴出するソロ、エフェクト使い等々概してアタック感が強く、ドラムの爆発力もダイナミズム&メリハリを増幅している。

「名盤再演」という前提で時間規制もあるストリーミングゆえに同作の描く旅路/物語から逸脱するわけにいかなかったとはいえ、バンドがあたたまって興に乗った“Expectation”、“The Bold Arrow of Time”といったハード・ロックやプログレ色の濃い後半のジャムはもっと長く聴いていたかった。ケヴィンがバンドに背を向け海に向かって演奏する後ろ姿をカメラが何度か捉えたように、テーム・インパラの本質は孤独な『インナースピーカー』(=心の中に鳴る音をキャッチし音楽にするスピーカー)であり、コロナ状況で他者との触れ合いが希薄な現状に奇しくもマッチしている。

だが、そんな彼のシャイで閉じた内的世界が10年の間に外に広がり、仲間とのコラボで変化し力強く成長したことを実感させるこのライブはポジティブだった。また、みんなと繫がりたいな――そんな感慨にふけりつつストリーミング終了後に窓の外を見ると、ロンドンの空も妙に夕焼けがきれいだった。(坂本麻里子)



テーム・インパラの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


テーム・インパラ、デビュー作の全曲再演ストリーミング・ライブ開催!  ケヴィンのシャイで閉じた世界が外へ広がり、コラボを通じて成長したポジティブさが感動的だった - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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