【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/メグ・ホワイト

ロッキング・オン6月号では、「究極のギタリスト」を特集しています。そこでギタリスト特集とあわせて 、昨年の9月号に掲載したロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ドラマー」を43日にわたり、毎日1人ずつご紹介します。

「究極のロック・ドラマー」に選ばれたアーティストはこちら。

メグ・ホワイト(ザ・ホワイト・ストライプス)

【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/メグ・ホワイト

メグ・ホワイトのドラムは、シンプルであるが故に当初はよく批判された。しかしジャック・ホワイトは、「ホワイト・ストライプスとは、自分達を制限することで、解放されることだ」と語っていたのでつまりメグこそがバンドを体現しているのだ。彼女なしではストライプスは誕生しなかった。ジャックは、天才にして多才だが、ストライプス結成前には多くのバンドに所属しながらも決定的なバンドを見つけられないでいた。

しかし1997年、ふたりが結婚して1年が経った頃、ジャックがドラマーでもないメグに、シンプルなビートを叩いてくれないかとお願いし、それから間もなくしてストライプスが誕生した。そして、それがロックの歴史を変えたのだ。21世紀最初のロック・ムーブメントであるロック・リバイバル・シーンでは数多くのバンドが登場したが、ストライプスが中でも秀でていたのは、ベースがいなくてドラムがミニマルであることで、彼らがブルースを現代のサウンドとして解体し、再構築できたからだ。

メグのドラムを決定付けたのは、彼らを世界的にブレイクさせた『ホワイト・ブラッド・セルズ』の例えば“フェル・イン・ラヴ・ウィズ・ア・ガール”だろう。キック・ドラムにハイハットにシンバルととてつもなくシンプルだが、そのプリミティブなドラムこそが、観客とステージを一体化し、曲の機動力となる。そもそも曲がそれ以上求めていない。つまり簡単でシンプルで、完璧なのだ。それを極めるのは最も難しい。だから技術的に優れたドラマーでもメグのドラムを超えるのは至難の業だろう。

ライブにおいても、ジャックの熱く激しいパフォーマンスと対照的に長い髪をうざそうにしている佇まいも最高にクールだ。ちなみに、天下のデイヴ・グロールがローリング・ストーン誌でこう語っていた。デジタル・レコーディングがいかに現代のドラマーの個性を消したかを語り、「だからメグ・ホワイトは大好きなドラマーなんだ。彼女みたいにドラムを叩く人ってどこにもいない。技術的には完璧とは言えないから音楽学校には合格できないだろう。でも彼らの音楽は完全に世界を変えたんだよ」。

しかも彼女は、ザ・ブラック・キーズヴァンパイア・ウィークエンドのドラムへの扉も開けたと思う。つまりメグは、21世紀最初のロック・ムーブメントの背骨を形成したとすら言えるのだ。(中村明美)



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【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/メグ・ホワイト - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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