今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート!

今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート!
め組「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2021 -NEW COMING!!-」
12/3 @Shibuya WWW

憂鬱も切なさもすべて引っ括めて、人々とともに胸を躍らせるように音楽を奏で、未来を手繰り寄せるめ組がそこにはいた。彼らにとって年内最後となるライブ「ME-GUMI ONE MAN LIVE 2021 -NEW COMING!!-」。会場は、前回7月のワンマンライブと同じくShibuya WWWだ。ファンキーな登場SEに、駆けつけたオーディエンスの手拍子が重なり、外山宰(Dr)、富山京樹(Gt)、寺澤俊哉(Ba)、久佐賀麗(Key)、そして菅原達也(Vo・Gt)が一人ずつ姿を見せて位置につく。

ライブのオープニングを飾るのは、世界中が未曾有の困難に見舞われた時期の優しくも芯の強いメッセージソング“YOLO”。洗練されたバンドアンサンブルといい、メンバー全員で膨らませるコーラスといい、今回のステージに向けた入念な準備と心意気が感じられる。そこから《あなたの心の真ん中 盗みに来たぜ》と菅原節のフックが弾ける“Amenity”、さらには追い撃ちをかける狂騒の銃弾“マイ・パルプフィクション”と、カラフルなサウンドで序盤のムードを練り上げていった。歓声やシンガロングの自粛が求められるフロアにあって、誰からともなく無数の掌がかざされる。

今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート!
オリエンタルなキーボードフレーズに導かれる“春風5センチメンタル”や、強い衝動と体温・湿度まで感じさせるラブソング“お行儀の悪いことがしたい”など、前回のワンマンで披露されなかった楽曲たちもこの新体制め組のアレンジで届けられる。寺澤のスライド奏法からしっとりと歌い出される“ござる”は、音の隙間から際限なくエモーションが溢れ、怒涛のクライマックスへと向かっていった。

MCでは、メンバーがそれぞれに「NEW COMING!!」な出来事を紹介。久佐賀は、富山の影響もあって初めて香水をつけてライブに臨んだという。寺澤は最近、ワイン好きが高じてなんとワインエキスパートの資格を取得(バッジを披露)しつつ、よりパワフルな演奏を目指した身体トレーニングの成果が出ていることも語る。また、外山は新調した赤いドラムセット、富山はよりコンパクトなセッティングに纏め上げたエフェクターセットでそれぞれに新しいサウンド構築に挑戦しているそうだ。

今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート! - 久佐賀麗(Key)久佐賀麗(Key)
そして「NEW COMING!!」なパフォーマンスの一環として披露されたのが、今年加入した久佐賀のリードボーカルによる“愛をさけるチーズみたいに”である。もしかすると、もう二度と聴くことのできない楽曲かも知れないと思っていたので、これには驚かされた。ハンドマイクで、エモーションの芯を捉えた美声を放ち、最後には富山のギターサウンドとせめぎ合うような熱唱を届ける。過去のめ組作品もこうして新体制によって歌い継がれることで、新たな普遍性を獲得する。フロアからは、大きな拍手が湧き上がっていた。

夕焼けのようなバックライトに包まれる“駄々”、豊穣かつ楽しげなスウィンギン・ロックンロール“キキ”と、自由自在にムードを切り替えながら惜しみなくスキルを発揮してゆく5人。「NEW COMING!!」な話題がつまらないと事前にメンバーからダメ出しを食らった菅原だが、とあるきっかけから寄席の観覧デビューを果たしたそうで、羽織を脱いで落語演目の本題に入る噺家のように、上着を脱ぎ捨てて初披露の新曲“Bad Night Dancer”へと向かっていった。今のめ組のタイトな演奏技術を活かしたディスコチューンであり、頭上ではミラーボールも回るのだが、ただ華やかで楽しいというよりも、やり切れない1日の感情をダンスにぶつけるようなパフォーマンスである。

今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート! - 菅原達也(Vo&Gt)菅原達也(Vo&Gt)
そして終盤は、新旧の必殺ナンバーがつるべ撃ちに。“余所見”から“お化けだぞっておどかして”へと向かうときの、「みんなでワクワクしようぜーっっ!!」という久佐賀の煽り文句も勢いに拍車をかける。ホラーな不協和音とスリリングなソロリレー、そして《ちゅるりらら》の合言葉の代わりに5連符の手拍子をオーディエンスが一斉に打ち鳴らす“悪魔の証明”と、逃れがたい熱狂の時間が育まれる。そして、7月のワンマンで初披露された“あの恋をなぞれば”である。切実なほどにロマンチックで美しいロックシンフォニーが、フロアを満たす。音源化が待たれる新曲でありながら、堂々とライブ本編のフィナーレを飾っているのがすごい。

アンコールに応えてメンバーが再登場すると、2022年春に待望の新作CDリリースと東名阪ツアーを開催することを発表(→詳細はこちら)。「僕たちにとって、ものすごく大事な曲になると思います」と披露されたのは、こちらも新作CDに収録予定となる“愛し、愛され”。菅原と久佐賀のめくるめくスイッチングボーカルとハーモニーが肝になる、ジャジーなシティソウルだ。歌声の合間を縫う繊細なワウギターのフレーズといい、め組メンバーが一丸となったアレンジも目眩がするほど素晴らしい。

今までのめ組と、これからのめ組。万華鏡ポップのワンマンライブをレポート!
「これからのめ組、今まで培ってきため組、どちらも僕らはこの5人で大事に大事に届けたいし、伝えたいと思っておりますので、どうか、こんなやつらですけど、これからもずーっと付き合って頂けると、僕たちとても嬉しいです」。菅原がそんなふうに言葉を添えて、最後に披露されたのは“ぼくらの匙加減”だ。笑いあり涙ありの人生劇場、そんなライブのエンディングテーマのように、次回への期待を膨らませながら鳴り響いていた。「はっきり言って、最高傑作です」という新作CDとリリースツアーが、今から待ち遠しい。(小池宏和)

●セットリスト
01. YOLO
02. Amenity
03. マイ・パルプフィクション
04. 春風5センチメンタル
05. お行儀の悪いことがしたい
06. ござる
07. 愛をさけるチーズみたいに
08. 駄々
09. キキ
10. Bad Night Dancer(新曲)
11. 余所見
12. お化けだぞっておどかして
13. 悪魔の証明
14. あの恋をなぞれば (新曲)

(アンコール)
01. 愛し、愛され (新曲)
02. ぼくらの匙加減

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