元パニック!アット・ザ・ディスコのライアン・ロスが脱退と新作について語る

昨年の7月にジョン・ウォーカーとともにパニック!アット・ザ・ディスコを脱退したライアン・ロスはバンドを抜けるのは「彼女と別れるような心境だった」と語っている。

ライアンとジョンはその後、新ユニット、ザ・ヤング・ヴェインズを結成しているが、パニックをやめる経緯になったのはバンドの演奏を楽しめなくなってきていたからだとNMEに語っている。

「ジョンとふたりで気付いたんだよね。あのバンドをやっている限り、ある種の妥協をいつも強いられて、二度と自分たちのやってることに満足できないんだろうなってね」とライアンは説明している。

「ぼくたちでパニックで曲を書いていた時は、無意識的でも意識的でも、いつもパニックの曲なんだっていう気持が働いてて、やってることを考え直したり、やっぱり変えたりせざるをえなくなってくるんだよ。だから、自分の直感に逆らって書くようになってきちゃっててね」

「大多数の人にはあの時点でバンドをやめるなんて頭がおかしいと思えたんだろうけど」とライアンは続ける。「でも、ぼくたちにはもう装って曲を書くのが我慢できないところまでいっちゃったんだよね。やっぱりぼくたちになによりも重要なのは曲を書くことで、自分たちが絶対に信じることのできる音楽をやることなんだとわかったんだよ」。

ふたりがバンドをやめたのはパニックにとって大ブレイク作となった『プリティ。オッド。』をリリースして、そのツアーを終えた後でのタイミングだった。

ライアンによれば、パニックの残されたブライアン・ウーリーとスペンサー・スミスとはその後、ほとんど音信不通に近い状態だという。

「もう1年近くにもなるし、それだけの間いきなりまったく連絡を取り合わなくなると、さすがにしんどいものがあるよね」とライアンは語る。「将来的にはまた友達として付き合えるはずだと思うけど、でも、これを乗り越えるには全員にとって、ちょっと時間のかかることになるんじゃないのかな。つまり、5年も付き合った彼女を別れたとなったら、さすがにその別れた翌日は親友のように付き合うわけにもいかないじゃない?」。

また、ライアンとしては自分たちが抜けた後も、ブライアンとスペンサーがパニックとして活動を続けることを決意したことに驚きを隠せなかったと認めている。

「ぼくたちが抜けた後、誰もその状態では続けたがらないだろうなと思ってたからね」とライアンは続ける。「当時はちょっとショックだったけど、今ではあのふたりにとってやっぱりあのバンドをやることが最高に楽しいことなんだとわかったから、続けたい気持もよくわかってきたよ。あのふたりほどあのバンドを楽しめる人間はほかに思いつかないし」。

ライアンとジョンはザ・ヤング・ヴェインズとしての新作『Take a Vacation!』も完成させている。バンドのほかのメンバーには、キーボードのニック・ホワイト、ドラムのニック・マレー、そしてベースのアンディ・スーカルという顔触れが揃っている。

収録された11曲はロスアンジェルスのサンセット・サウンド・スタジオでレコーディングされ、『プリティ。オッド。』のプロデュースを手掛けたロブ・メイセスがファントム・プラネットのアレックス・グリーワルドとともにプロデューサーにあたっている。

どこかレトロっぽいサウンドを聴かせるアルバムでもあるが、ビートルズやキンクスからの影響をライアンは否定している。

「なんかそういう比較はあまりにも安直なような気がするんだ」とライアンは反論する。「といっても、間違ってもらっちゃ困るけど、ビートルズはぼくたちのオールタイム・ベストなバンドのひとつなんだよ。ただ、今回の作品にはそれ以上にもっと影響されたものがたくさんあるんだよ。ぼくたちとしてはモータウンとか60年代初期のソウル・ミュージックにものすごくはまってて、サウンドがすごく楽しいなと思ってたんだよね。ああいう音楽にはまやかしみたいなところがなんにもないしね」。

では、『Take a Vacation!』というタイトルなどは、このバンドが当座のものであることをほのめかしているのかという指摘に対してライアンはこのバンドはずっとやっていくつもりだと説明した。

「ちょっと洒落も入っているんだけど、でも、リスナーのみんなにはこれはヴァケイションとしてやってるわけじゃなくて、これからもずっとやっていくバンドなんだってわかってほしいな」とライアンは説明する。「それとあんまり杓子定規に構えるなよっていう意味合いのタイトルにもなっていると思うんだ」。

アルバムは7月5日にリリースされる予定で、タイトル・トラック“Take a Vacation!”や、4月にリリースされたシングル“Change”、ほかに“Cape Town”“Heart of Mine”などが収録されている。

「どの曲も結構、具体的な内容を持っているんだよ」とライアンは説明する。「“Cape Town”にもいろいろお話があって、“Heart of Mine”などはアジアに行っている間に書いたものなんだ。彼女に会えなくて恋しい気持を歌った曲なんだよ」。

(c) NME.COM / IPC Media 2010
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