昔から動物愛護を強く掲げてきたモリッシーだが、この度、そんな話題でタイムズ紙に投稿している。もともとあった別な読者からの投稿にモリッシーが賛成するという内容の投稿なのだが、どういう内容かというと、軍の帽子に毛皮を使うのをやめてほしいというもの。ただ、それがただの帽子ではなく、バッキンガム宮殿の守衛などに当たるイギリス近衛兵のあの世界的に有名な長いふさふさの帽子をやめろという内容なのだ。そもそもこの帽子の名前そのものが「Bearskin(熊革)」というものなので、モリッシー的には完全にアウトということなのだろう。モリッシーはこう指摘する。
「人間らしい社会では帽子を作るのに殺生をする必要はありません。確かに動物の権利については人それぞれでたくさんの意見がありますし、なかには動物など存在することさえおこがましいとする人たちまでいます。けれども、カナダヒグマの生態をわざわざ過酷にする必要などありませんし、もともと見てくれからしてばかばかしいあの近衛兵の帽子のためにそうすることはなおさらおかしいですし、(ステラ・マッカートニーが得意な)人工皮革を代用すれば殺生をせずともよいのです」
ステラ・マッカートニーとはあのポール・マッカートニーの娘でデザイナーとして有名なあの人。動物愛護にも熱心で人工皮革しか自身の服には使わないことでも有名だ。一方、モリッシーはエリザベス女王についてもこのように言ってのけてみせる。
「この問題を考えると女王陛下自身についても考えないというのは難しいことです。そもそもあの近衛兵たちは女王の近衛だからです。そして、自分の近衛兵たちの帽子を用意するためにどれほどむごたらしいことが行われているのか、女王自身もきっとご存知のはずです。ひとつひとつの帽子のために熊の革が剥がされていくその光景はきっと女王陛下の心にも痛々しく響くはずです」
そして、モリッシーは文章をこう結んでいる。「本物の毛皮を被る近衛兵とは、最低最悪の人間精神を反映したものでしかありません」。