モリッシー、新たに故サッチャー元首相へのコメントを発表。その全文訳
2013.04.10 12:47
4月8日に他界したイギリスのサッチャー元首相についてのモリッシーのコメントが世界中で波紋を呼んでいるが、これが実はイギリスの男性誌『ローデッド』での過去のインタヴューから引用されたものであることが明らかになった。
最近のコメントではないことをモリッシーのファンサイトの「モリッシー・ソロ」が指摘し、そのことをマネジメントも認めたとピッチフォークが伝えている。
その上でモリッシーは、ファンサイトの「トゥルー・トゥ・ユー」に他界したサッチャー元首相についての最新コメントを発表している。以下はその全文訳となる。
「マーガレット・サッチャー
イギリスのタブロイド紙にマーガレット・サッチャーについてのコメントを提供するのは、その意見が体制について擁護的でない場合には、どれほど落ち着いて慎重に語ってみたところで、必ず“ぶちまけた”とか、“激情をもって攻撃した”と形容されてしまうという意味でほとんど不可能です。『マルヴィナス(フォークランド諸島のアルゼンチン名)』と言及すれば、必ず『フォークランド』と書き換えられてしまい、『サッチャー』という文章の口調も『マギー』というやんわりとしたものへと変えられてしまいます。一般的に言論でこうした構造が存在するのは反民主的な社会においてです。サッチャーの名誉を傷つけることがご法度とされているのは、彼女が行ったすべての誤ったことを隠すためではなくて、サッチャーを取り囲んでいた人間全員が彼女にそうさせていたことを隠蔽するためで、サッチャーへの批判というのはどのようなものでも、イギリスの政治の仕組みがいかに馬鹿げたものであるかということを危険なまでに白日にさらしてしまうものなのです。サッチャーは強い指導者でも、愛されるべき指導者でもありませんでした。サッチャーは単に人々について糞とも思っていなくて、その人間としてのがさつさは愛国主義を守るために歴史を書き換えようとしているイギリスのプレスによって巧妙に勇敢さへとすり替えられています。その結果、どんな反対意見ももみ消されるか嘲笑されるだけで、ぼくたちはデイヴィッド・キャメロン(首相)の称賛に満ちた弔意を延々と聞かされる羽目になるわけです。しかも、その間、キャメロンのこの称賛は、サッチャー急進主義への賛美が噴出したもので、それも現在の自身の利権を守るために語られているものでしかないのかもしれないという指摘もまったく挟まずにBBCはただこれを伝えているのです。サッチャーがきっかけとなって、イギリスの大衆による市街での暴動行為、暴力的なデモ行為や社会的混乱が引き起こされたわけですが、これはそれまでのイギリスの歴史では例を見ない出来事であったという事実を、2013年のデイヴィッド・キャメロンの言動はまったく無視しています。しかし、真実はもちろん、マーガレット・サッチャー以上にイギリスの人々に軽蔑されたイギリスの政治家はほかにはいないということです。水曜日に行われるサッチャーの葬儀は、イギリスの納税者がついにそのサッチャーへの本音を露わにするのではないかという不安から厳戒な警戒体制のもとで行われるはずです。そうした人々は警察によって地の果てまで催涙弾で蹴散らされることでしょう。
ユナイテッド・キングダム? シリア? 中国? なんの違いがあると言うのでしょう?
モリッシー
2013年4月9日」