モリッシー、「もはや輝きを失った」と自身を批判した英紙に痛烈な反論。サイトを新設し長文の抗議文を掲載

モリッシー、「もはや輝きを失った」と自身を批判した英紙に痛烈な反論。サイトを新設し長文の抗議文を掲載

2月から3月にかけてUKツアーを行ったモリッシーが、新しく立ち上げたサイト「Morrissey Central」で「The Independent」への批判を滔々と綴っている。

これは「The Independent」がモリッシーのUKツアーをめぐって批判的な記事を掲載したことへの反論で、記事はツアーに加え最新作『Low in High School』、モリッシーの自伝『Autobiography』や小説『List of the Lost』なども取り上げて、もはやモリッシーにはかつての輝きはなく、あるのは周囲への不信と敵意だけを糧にしているその姿だけでウンザリしてしまうという論調のものだった。

該当の「The Independent」記事では「かつて美しかったアーティストが、今や裏切りを期待し、場合によっては裏切りをそそのかすという姿にまで落ちぶれた」とまで言い切られている上、問題発言をたびたび口にするモリッシーについては「(モリッシーが)また大口を叩くと、最近では胃にしんどくて吐き気がする」とも記述。

モリッシーはもはや輝きを失ってしまったアーティストであることや、モリッシーの表現にはもはや自分以外の存在への敵意しかないとはっきりと綴られている。


これに対してモリッシーは自身のブログの中で、この記事について次のように切り出している。

2週間前、「The Independent」は汚らしい癇癪にまみれた(ぼくへの)ヘイト記事を掲載したけれども、そのあまりにも呆れてしまう内容に息継ぎができなくなって窒息してしまうかと思うほどでした。そんな標的にされて明らかになったのは、「The Independent」にとって、ぼくは道徳を微塵も持ち合わせていない、見ただけで胸糞悪くなる人物で、あまりにもその度合いが強すぎて彼らとしても腐心してしまうほどなのだということです。

その一方で、ぼくが痛々しい死を遂げたと発表されようものなら、彼らとしては高々と笑い声を上げて喜ぶに違いないということもよくわかりました。そう、ぼくたちが向き合っていかなければならないのはこのような手合いなのです。


さらに「The Independent」ではこの記事に先立ち、グラスゴーでのライブ中にモリッシーがスコットランド首相のニコラ・スタージョンについて「それできみたち、本当にニコラ・スタージョンが好きなわけ?」と問いかけ、これを受けて大勢の客がライブを後にしたとも報じていた。しかし、モリッシーはこの報道がまったく事実とは違っているとも次のように指摘している。

グラスゴー・アリーナの満杯の観客に向かって、ぼくがニコラ・スタージョンは好きかどうかと訊いた時、「The Independent」はぼくへの嫌悪感から半分近くの観客が会場を後にしたと自信満々に伝えていました。おわかりのように、それも正義の原則(根拠を挙げること)をまったく無視して。

しかし、実際にはグラスゴーの観客はぼくの問いかけに対して「好きじゃなーい!」と耳をつんざく雄叫びのように返答したのであって、ぼくへの抗議から会場を去った観客はひとりもいませんでした。

「The Independent」は正義の原則などお構いなしに真実をねじ曲げるために、読者にも平気で嘘をつきます。こうしたかなり原則的な事実についてまでこの新聞がこのような不正をおかすとなったら、この新聞の報道の一体なにを信じられるというのでしょう?

そうやって彼らはぼくが「ニコラ・スタージョンを毛嫌いしている(これは事実ではないが)」と読者に伝えようとし、さらにぼくが「ブレグジットが大好きだ」と冷笑的にけなしてみせているのです。


実際、このグラスゴー公演には「The Independent」の記者が出かけた様子はなく、記事中にはただ「大勢が会場を後にしている」という内容のツイートだけが引用されていた。また、「Clash」などは、グラスゴー公演での「大勢の観客が退場」との報道がフェイク・ニュースではないかと指摘している。


さらにモリッシーは自身のブレグジットへの立場については次のように説明している。

ぼくの記憶では、これまでにブレグジットについては生涯で2度だけ言及していて、どちらについてもブレグジットへの好感については触れていません。

ぼくが説明したのは、メディアの親分たちが発していた警告を聞き入れずに投票を決行した国民に対して、政治エリート層があまりにも露骨な嫌悪感を露わにしたからこそ、ブレグジットは民主主義にとって致命的な大きな衝撃となったということなのです。


また、人種差別的だと頻繁に非難されていることについては次のように指摘している。

新聞などの紙媒体が反論に窮した時にやることは、論敵を「差別主義者」と言い換えてみることだけです。差別主義者呼ばわりされることに対しては誰もがたじろぎ、後ずさりして押し黙ってしまうということを考えるとこれは完璧な一手であり、こうして論争は未解決のまま葬られていくものなのです。

「差別主義者」という言葉は、実際には最も寛容さを持ち合わせていない人間の口から発される言葉なのです。


そしてさらに、自分の信条についても次のように説明する。

ぼくは頭のいかれた左翼でもないし、極右主義者でもない。ぼくは人道主義者なのです。ぼくはこれまで一度もイギリスの選挙で投票したことがないけれども、それは自分の意見を代弁する政党をみつけたことがないからです。

ぼくが社会的に一番憂慮しているのは畜殺場を廃絶したいということで、こうした施設が現代においても存在し続けていることは、気が狂った信条に増して尋常なことではないと思います。



また、「The Independent」の記事でモリッシーがいかにもオーディエンスにも見放されているように書かれたことに対して、モリッシーは今回のUKツアーがこれまでで最も成功したツアーとなったと反論。8日間のうちにアレクサンドラ・パレス、ザ・ロンドン・パラディアム、ブリクストン・アカデミー、ザ・ロイヤル・アルバート・ホールの4会場で行ったロンドン公演はいずれも完売したと述べている。

なお、モリッシー側は当初Facebookで「The Independent」の事実誤認を指摘していたものの、その後「Morrissey Central」を立ち上げて新たな反論文を公開。

ちなみに「Morrissey Central」の最新の記事ではクリッシー・ハインドの“Back on the Chain Gang”のカバーをロサンゼルスでレコーディングしたことが報告されており、夏にシングル・リリースすることが発表されている。
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