ガンズの『チャイニーズ・デモクラシー』、流出の経緯の詳細をリークした本人が明かす

ガンズの『チャイニーズ・デモクラシー』、流出の経緯の詳細をリークした本人が明かす

2008年の夏にガンズ・アンド・ローゼズの『チャイニーズ・デモクラシー』の音源をネットに流出させたブロガーが、その時の経緯の詳細を自身のサイトで明らかにしていると音楽サイトのコンシクエンス・オブ・サウンドが伝えている。

スクワールというハンドルネームで知られるケヴィン・コギルが音源を入手したのは匿名のメーラーからで、実際にはインタースコープの共同オーナー、ジミー・アイオヴィンの手元にあった『チャイニーズ・デモクラシー』からの音源9トラックだったという。音源を入手するとケヴィンは自身のサイト「antiquiet」にストリーミング音源を公開。するとものの10分でサイトへのアクセスがパンクしてクラッシュしてしまったというが、その後ガンズ・アンド・ローゼズ側からは法的な手段に訴えるという勧告を洪水のように受け取ることになり、音源を引き上げることになったという。

その後、ケヴィンは連邦捜査局(FBI)の捜査まで受けることになった。自分に連邦著作権法違反の容疑をかけられていることが判明したため、ケヴィンはFBIへの出頭を自ら申し出たというが、実際には自宅で「拳銃を少なくとも6方向から突き付けられた状態で」手錠をかけられたという。その後行われた裁判では判事もこの逮捕劇には呆れていたとケヴィンは語っていて、「判事は実際に、『この事件はわたしが勧めたように、なぜ召喚令に依らなかったのか理解に苦しむ』と法廷で発言していたんだよ」と振り返っている。

その後、ケヴィンを重罪犯へと追い込もうとする検察や政府の思惑をデイヴィッド・カロヤニデスという弁護士が見事に防いでくれたとケヴィンは語っているが、その後、この『チャイニーズ・デモクラシー』が実は1994年以来制作が続けられて完成を見ていない作品だったという事実に検察も気づくと「とにかく軽犯罪でもなんでもいいからなんかとして罪を僕になすりつけて政府の面子を保つための闘いになっていった」とケヴィンは説明している。

検察がケヴィンを著作権法関連の重罪で追及するには「『チャイニーズ・デモクラシー』が本当にリリース間近だと法廷で証明しなければならず、しかも訴えを起こしていたアメリカ・レコード産業協会(RIAA)の連中は誰も検察にはこの音源が14年間もお蔵入りになり続けていたことを伝えてなかった」とケヴィンは語っている。

「伝えていたのは、レコード会社は製作費の1200万ドル(約12億6千万円)を負担していたということだけだったんだよ。検察側はやがてRIAAにろくでもない案件を摑まされていたことに気づいたんだよ」

しかし、この事件が法廷で闘われたことが結果的に『チャイニーズ・デモクラシー』のリリース実現に繋がったとケヴィンは説明していて、公判がそのまま作品の大きなプロモーションとなり、流出から5か月後の11月には『チャイニーズ・デモクラシー』はアメリカでは相当な大金と引き換えに家電量販チェーンのベスト・バイから独占リリースされることになった。実際、ケヴィンが出廷する度に、シングルがリリースされたり、ジャケット・アートが公開されたりするなど、なんかしらのプロモーション・タイミングとシンクロしていたとケヴィンは振り返っている。

結果的にケヴィンは罪状を認める見返りに、「友人のためにアルバムをコピーした」という程度の微罪に問われるだけになり、2か月の自宅軟禁と1年間の保護観察処分となった。

なお、新作制作に取りかかるのではないかと伝えられているガンズ・アンド・ローゼズだが、来年の春には南アメリカ・ツアーを敢行すると発表している。
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする