ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー、昨年受賞したポラリス賞を批判

ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー、昨年受賞したポラリス賞を批判

昨年9月にカナダの最優秀アルバムに贈られるポラリス賞に輝きながら、賞を批判したゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのエフリム・メナックは批判の意図を説明している。

ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーは2012年に10年ぶりのオリジナル・アルバム『アレルヤー! ドント・ベンド! アセンド!』をリリースし、昨年ポラリス賞を見事受賞したが、バンドはポラリス賞がまともな音楽にまるで貢献していないと批判。そのまま賞金3万ドル(約291万円)も服役囚に楽器を貸与する活動に寄付したいと宣言した。

音楽サイトのクリエイティヴ・コントロールのポッドキャストに出演したエフリムは、受賞を振り返って「授賞式の日を、自分たちが受賞しないようにと願いながら迎えるというのはなんとも妙な気分だったよ。よくわかんないけど。でも、もし受賞することになったら、何を言いたいのかはもうよくわかってたよ」と語っている。

「言いたいことはあの時点で言ったし、できるだけ品格をもって言うようにしたし、なかにはそう受け取ってくれた人もいたし、まるで品のない言い方だと受け取った人もいたわけだけど、僕たちが『ファッキュー! おめーら堅物は死にやがれ!』なんていう手紙を書いたわけじゃないからね。相手のことを認めながらも批判したということだから」

「どういうことかっていうと、要するに誰かが新しいレコードを出すと、ポラリス賞は必ずレコード会社に『賞の候補に入れるつもりですか?』って打診を入れてくるものなんだよ。その時、レコード会社は入れたい/入れたくないと返事ができるんだ。そこで(レーベルの)コンステレーションは入れたいと判断して、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーにはまるでそのことを言わなかったんだよね、『どっちみちいいことなんだから』ってことでね。だから、僕たちが『なんだよ、こんなの辞退したかったんだけどな』って思った時にはもう大分選考も進んじゃってたんだよね。でも、どっちにしても、候補には絶対に残らないはずだとそこは自信があったんだよ」

「それから候補に本当に残っちゃった後も、バンドとしてはまさか受賞はしないはずだと踏んでたんだよね。でも、本当に土壇場になってから、『まいったな、ほんとに受賞するかもしれないし、そんな事態に備えておかないと』ってわかり始めたんだ。とにかく、わかってほしいのは、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーとカナダの音楽業界の関係というのはそもそもの最初からずっとひどいものだということなんだよ。最初からものすごく敵対的なものであり続けてきたから、『賞なんか貰うはずがないし、連中の方から僕たちに与えるわけがない』って思い込んだとしても全然おかしくないんだよ。あの時の声明でも言った通りなんだ。僕たちは自分たちの国では孤児のように感じるってね。他のみんなにとっては僕たちは目に見えない、透明な存在でしかないんだ」

さらに賞金を服役囚の音楽活動に使わせるというプロジェクトについては、かなり難航していることを次のように説明している。
「どの刑務所についても担当する官僚は融通が利かないものなんだけど、ケベック州ではことさらにやりにくいんだよね。僕たちとしては、とにかくこれを実現できるという人を探し出して、その人に実現させてもらいたいんだ。だから、このプログラムをしっかり立ち上げるのにも、時間をかけてじっくり腰を据えて取り組んでみることにしたんだ。今はアメリカで似たようなことをやってきた人たちと連絡を取り合ってて、こういう関係の役所と渡り合うのにいい知恵が見つからないか探ってるところなんだよ。まあ、難題だけどやりがいはあるよ。いずれ結果が出ると思うよ」

その一方で、ポラリス賞を創設したスティーヴ・ジョーダンはエフリムの発言の中でも、選考に関する発言について次のように指摘している。
「エフリムは『誰かが新しいレコードを出すと、ポラリスは必ずレコード会社に"賞の候補に入れるつもりですか?"って打診を入れてくる』と発言していますが、実際の手順はこういうものではありません」

「選考委員会の人物からある作品の検討が提案された場合、委員会内での内々の討論のために作品を委員会にアップロードしてもいいかどうか、その許可をわたしたちはレーベルに求めているのです。これは作品を検討するために委員が自由に作品を聴けるようにするための措置なのです。ですから、この時点で候補に上っているわけではないのです。ただ、少なくとも一人の委員が作品を検討しているということを意味することではあります。この時点でレーベルかアーティストが断りを入れたとしても、検討を提案した委員はこの作品への投票を続けることはできます。その後、委員会の投票で候補に残ると、今度は様々なルートを使ってアルバムのジャケット・アートの使用許可を願い出るのですが、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーの場合には幸い、許可していただけました」

「これまで候補の辞退を申し入れられたことはありませんが、そのようなことがもしあれば、もちろんわたしたちはアーティストの意思を尊重するはずです。それ以外については特に言うべきことはもうありませんが、特にこの作品については、まだ聴いていない人にはぜひ聴いてみることをお勧めします」
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