SEKAI NO OWARI『Tree』について

SEKAI NO OWARI『Tree』について

前作『ENTERTAINMENT』よりも後に何らかの形で発表されたオリジナル曲のすべてがこのアルバムには収録されているが、すべての曲がこのアルバムの中で欠けてはならない重要な意味を持っている。
そして、このアルバムにはSEKAI NO OWARIというバンドが音楽活動を通じて何を伝えようとしているのかのすべてが表現されていると言えるだろう。

それは本当にシンプルに言ってしまうなら、多くの人が知っているバンド名の由来の通りで、「終わり」のなかに「始まり」があるということである。
シングル『RPG』のカップリング曲“アースチャイルド”に、まさに《また「終わり」の中に「始まり」を探しに行こうよ》という歌詞があるけれど、ポップな曲もファンタジックな曲もダークな曲も悲しい曲も、すべての曲はそのことを描いている。
しかし、それは1曲ずつでは完全に証明できない。
ここに収録されているすべての曲があってそれは証明できるし、音楽に付随する彼らのあらゆる活動は、その証明の背中を押すためのものである。

すべての「生」はいつか「死」に変わるけれど、そこから新たな「生」がいくつかに枝分かれをしながら芽生える。
「絶望」に変わった「希望」からも新たな「希望」が芽吹き、「憎しみ」に変わった「愛」からも新たな「愛」が芽吹く。
それが大きな樹のようになったSEKAI NO OWARIの音楽は、インディーズ時代同様に残酷なくらいリアルで毒も狂気も含んでいるけれど、だからこそどこまでも楽しく、美しく、肯定的で、目がくらむほどの輝きを放っている。
そんな彼らの音楽を素直に受け入れて、笑ったり、感動したり、エネルギーを得ることができるリスナーがたくさんいる今という時代に僕は喜びを感じる。(古河)
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