あなたは好き?嫌い?『セッション』を観た

私自身は比較的そういうものを避けて生きてきたが、学生時代の部活や受験、そして仕事を始めてからも、指導という目的のもとに正当化される理不尽な上下関係や、人格を否定されるような精神的な攻撃は誰でも経験したことがあると思う。
精神的な痛みで感覚が麻痺して、自分を追い込んでいくうちに蓄積されていく肉体的な苦痛にも気づかなくなり、「もっと」を過剰に繰り返し、壁を突破する、もしくは、壊れる。
そういうコーチ理論とか自己啓発の方法が確立されているのかは分からないけど、いろんな漫画とかドラマでも描かれてきたように、昔から日本にはこういうやり方は根付いている。そんな泥臭い文化を、映画的興奮と音楽とリズムがもたらす快楽とともに描いたのが、『セッション』だ。
マイルズ・テラー演じる19歳のドラムを学ぶ学生と、J・K・シモンズ扮する鬼教師が織りなす高みを目指すためのセッションは、凄い。怖い。危ない…でもそこを越えると、かなり笑える。
なぜ笑えるのか? 努力を全力でこじらせて方向を誤る若さも、突き抜け切っている教師の信念も、どこか美しいと感じてしまっている自分がそこにいるから。あれ、こういうの嫌いなんじゃなかったっけ……
理由が要らないレベルに至るほど、音楽に全身と精神をぶっこんでしまっている男たちの姿を、最高のエンターテインメントとして見せた28歳の気鋭・デイミアン・チャゼル監督とふたりの男に圧倒され、なんだか自分の中身もかき回されてしまった。作品賞はじめ各賞にノミネートされている今年のアカデミーも、めちゃくちゃに荒らすかも!?(川辺)
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