福島県の一般の人は入れない無人の町もロケ地にしながら、仮設住宅に住む方たちにも出演してもらい、園子温が20代のときに書き留めた構想25年の物語を映画化した、ほぼ全編モノクロのSF作品。
たぶんこの映画がひそひそ声で語りかけるものに耳を傾けられる人と、そうでない人がいると思う。
しかし人々がにぎやかに暮らしていた残像の世界を描いたこの作品が、自分たちの生きる世界とも、自分たちの人生とも地続きであることが想像できたなら、この映画は映画を超えて、その人にとって大切な記憶になる。
ここ最近の園子温のメジャー作品とは全くタイプの違う映画だが、どうか多くの人に観てほしい。
個人的には、スピッツの新曲“みなと”(こちらのMVも全編モノクロ)に共通するものを感じた。
5月14日より公開。(古河)
園子温『ひそひそ星』について
2016.04.30 23:58