絶対に観ても損をしないどころじゃない、絶対に観るべき1本である。
この世界を混乱させているのは、人間の悪意だけではなくて、膨大な(主に神様を巡っての)“かけ間違い”が積もり積もった結果かもしれない。
アーミル・カーンが演じる主人公“PK”(酔っぱらいの意味)は素っ裸で地球の言葉も常識も何も知らずに降り立った宇宙人だが、この映画を観ていると、その“かけ間違い”で混線しきった世界を解きほぐせる唯一のキャラクターなのではないかと思えてくる。
小さな恋物語でもあり、本気で世界平和を問い掛ける物語でもある。
一切の圧力に屈っさない姿勢で嘘のない表現を貫きながら、人間だからつく優しい“嘘”の素晴らしさも忍ばせる。
インドという国の事情を考えながら観ても面白いし、どの国の事情と照らし合わせて観ても深い感動を味わえる普遍性もある。
とにかく完璧過ぎる映画なのである。
10月29日公開。(古河)