ピノキオピー『HUMAN』はとんでもない傑作

ピノキオピー『HUMAN』はとんでもない傑作
ボカロ・ミュージックを聴いていると、将棋や囲碁のプロ棋士とコンピュータの対局の勝敗を見守るような感覚になることがある。

人工知能の進化によって人間の役割が変わるギリギリのライン。
そこから生まれる楽曲は、人間である僕らにとってマゾヒスティックなスリルがある。
ある人はその感覚を奇妙だと言い、ある人はその感覚をリアルだと言う。

ピノキオピーは、最も批評的にそのギリギリのラインで鳴らされるべき音楽を生み出しているアーティストだ。
人間の歌を、人間ではない声を駆使しながら、人間ではないものに役割を変えられつつある人間のために届ける。
11月23日にリリースされたこのサードアルバム『HUMAN』で特に、ピノキオピーはそれを意識的にやっている。
その結果、本当に将棋や囲碁の勝ち負けのように、嘘のない答がメッセージとして溢れ出してしまっているが、これこそが僕たちの生きる日常のディストピアをポップ・ミュージックとして表現したものだと思う。(古河)
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