にしても巨匠とはいえ、“ワーキング・クラス”のバックグラウンドがあるキャメロンだけあって、彼の語り口調は気さくそのもの。いい塩梅に4文字言葉とユーモアを交えて、“ライフワーク”と呼ぶ新作について熱く語ってくれた。現場ではスタッフを怒鳴り散らす“暴君”として有名な監督なだけに話す前は緊張したけど、彼の男気が滲み出る会話にはかなり興奮させられた(っていうか、それより『ターミネーター』の生み親と話している自分に酔ってる感じ?)。
先週開催された東京国際映画祭で、世界初公開の『アバター』のフッテージが上映されたんだけど、これまた度肝を抜くもの。もう言葉で書いても絶対に伝わんないんで割愛するけど、誰も観たことない映像であることは間違いない。全編3Dであることもすごいんだけど、それよりかキャメロンが構築した新世界の緻密さは、もう……「バカじゃないの」と笑うことしかできないほど、とてつもないことになっていた。そもそも最高級の技術を駆使して未知の世界を構築しているこの映画だけど、それより映画ファンとして嬉しいのは、その未知の世界が完全にキャメロンの頭にあったオリジナルなものであること。小説やマンガや古い映画を原作にしてないハリウッドの大作ファンタジーは本当に久々である。それだけに彼の狂気が生んだ世界の全貌を体感するのが待ち遠しい。
現在制作中のCUT12月号(11月19日発売)で『アバター』大特集を組んでるんで、よろしく!(内田亮)