今週末、『トイ・ストーリー3』が全米公開され、既にネットではとてつもない“祭り”状態になっているんだけど、実は今年、ピクサーの最大のライバルであるドリームワークスも、スタジオ史上最高傑作と呼べる作品を公開したのだ。
それが『ヒックとドラゴン』。今日はそんな傑作を監督したクリス・サンダーズとディーン・デュボアの取材をした。
ドリームワークスと言えば、代表シリーズの『シュレック』に象徴されるように、家族向けに創られていながら、ポップ・カルチャーをネタにしたり、もっともホットなセレブリティが声優としてカメオ出演したり、ポップ・ミュージックをBGMに使っていたり、いわゆるトラディショナルな米アニメを根本から覆すことで、ディズニーとピクサーと真っ向から対向していたスタジオ。そのためにここ日本では、その“アメリカン”すぎるテイストが上手く翻訳されず、なかなかヒットすることがなかった。
しかし、この『ヒックとドラゴン』は、それをまた覆し、極めて王道なストーリーテリングに徹しているファンタジー映画。それが見事にはまり、アメリカでは興行的にも、評価的にも、とてつもない成功を収めた作品であり、その感動は日本にもちゃんと伝わると思われる。
特にラスト。めちゃくちゃ感動的で、ある意味、すごく当然ではあるが、これまでアメリカのアニメでは考えられないようなエンディングが待ち構えているのである。監督たちは、それが日本ではどう受け留められるか、かなり気にしていたけど、ぼくが思うには、このエンディングこそが日本人の心を奪うものになるはず。是非、観て欲しい。
ちなみにこの監督デュオは、日本で絶大な人気を誇るディズニー・アニメ『リロ&スティッチ』を創ったふたりでもある。そういう意味でも、この『ヒックとドラゴン』は日本でこれまでなかったヒットとなるポテンシャルを秘めているんじゃないか。(内田亮)