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    園子温『希望の国』は本当に素晴らしい

    園子温『希望の国』は本当に素晴らしい

    最終試写にて、園子温監督最新作『希望の国』を観ることができた。
    本当に素晴らしい映画だった。
    音、言葉、演技と間(ま)、カメラがとらえる画、空気、編集によるテンポ感。
    すべてが研ぎすまされた、鬼気迫るような力のある作品だった。

    園子温作品の何に感情移入するかによって、この映画から受け取るものはきっと全然違うのだろうと思う。
    しかし、原発というテーマを根底に抱え、世代の跨がった3組の男女の生き様を通し、人間の業と尊厳とギリギリの「選択」を描くこの映画は、自分にとっては、まぎれもない園子温映画だった。
    ひとそれぞれまるで異なった、ひとつとして同じもののない「道」としての人生を、本当に何一つティピカルに総括してしまうことなく、バラバラなものとしてそのまま切り取ったこの映画は、その意味においてどこまでも誠実だと思った。

    しかし、相変わらず、「音」の使い方がむちゃくちゃにすごかったなあ。
    なんというか、ある種の「ゾーン」に入っていると言いたくなるほど、今の園作品における「音」をトリガーにした演出は冴え渡っている。
    そんなところにもぜひ注意してほしい。

    公開は10月20日。
    CUTは先月号(9月号)に園監督のインタビューを掲載しちゃったんですが、それも素晴らしいものになっておりますのでぜひ。(小柳)
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