希望のアルバム『パープル』について


このブログでも何度か紹介していて、CUTの読者のみなさんには山田ルキ子のペンネームで担当してくれている映画コラム「小さなスクリーンの中で生きていたい」でもお馴染みのシンガーソングライター・luki。
彼女の最新ミニアルバム『パープル』が徐々に話題を呼んでいます。
今回は、このアルバムの魅力について書きたいと思います。

『パープル』というアルバムの特徴は、その歌もメロディもサウンドも私たちの「生」を優しく包み込むような肯定的なエネルギーで貫かれているところです。
たとえばアルバムの1曲目“まだ間に合うから”の《君は希望 慰めより/紛れもなく 僕を救う/越えていこう 不安だけど/戦う勇気 なくさないで》といった歌詞が象徴しているような、「生」を肯定することの重さをしっかりと引き受けた表現のみによってアルバム全体が紡がれているのです。
ときには《スイッチを入れなくちゃ あたしたちは凍えてしまう》《君は勝手に死んでくれ あたしは泣けなくて叫ぶ》といった残酷なくらい生々しく荒涼とした情景や心理描写も現れますが、このアルバムにおけるlukiの歌とメロディはそれさえもポップな煌きに換えてしまうような強烈な力を持っています。
そのエネルギーを彼女は現在、発売中のCUTのインタビューのなかで「強く許容する力」と呼んでいます。
白か黒か、善か悪か、割り切れない現実を生きるすべての人を包み込むという意味でのポップ・ミュージックをこのアルバムでlukiというアーティストは究めているのです。

このアルバムのリリースを記念してのlukiのライブが7月7日、12日に渋谷のUPLINKで開催。
映像作家であり現代アートの作家でもある三島章義(亜裸眼/FUGAHUM)さんとの、音楽/映像のコラボレーション・ライブ。
しかも料金は1000円(http://lukirock.com/live)。
たくさんの映画を観てきたことを、その表現のルーツに持つlukiの世界が100%堪能できるライブになりそうです。(古河)
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