スピッツの横浜サンセット、最高!バンドはサンライズみたいにタフだったけど
2013.09.14 22:48
潮のかおりに包まれて聴く“渚”、そして“海を見に行こう”……マジで最高だった。 スピッツ、横浜サンセット2013@赤レンガパーク。こんなシチュエーションのスピッツを観るのは初めて! しかも、ニューアルバム『小さな生き物』から初めてライヴで聞く曲もいっぱい! そのうえ“アパート”とか“夏が終わる”とか懐かしすぎる曲まで! 結成26年目にしてスピッツ、初々しすぎだろう。
今日は仕事ではなく、いちファンとして純粋に楽しませてもらったのだが、この日ならではのセットリストにわくわくした。
“恋のうた”で始まり“海を見に行こう”で本編を締めくくるという、絶妙な物語。≪ミルク色の 細い道を ふり返ることなく歩いて≫きたスピッツは、≪何もない? 何かある? この道の彼方に≫となおも夢を追いながら歩き続けるのである。
海にちなんだ曲ということで期待してた“放浪カモメ〜”や“海とピンク”や新作からの“潮騒ちゃん”はおあずけだったけど、その代わりに月や星の歌が降ってきた。なかでも、半月に見守られた“月に帰る”のサイケデリックで神秘的なスケール感はスペシャルな体験だった。
MCでは、テツヤの「じぇじぇ!」が飛び出したり、崎ちゃんの、下見がてら春にひとりで赤レンガに遊びにきてフルーツポンチを食べたとかいうエピソートにほっこりしたり。田村は、この歓声を横浜スタジアムのアジカンまで届けよう、と言って会場を沸かせ、2ヶ所中継やってるわけじゃないですけどね(笑)、とマサムネに突っ込まれていた。マサムネは、最初のMCでいつものように「こんばんわ、スピッツです」と言おうとして、「こん……」と言いながら空を見上げ夜でいいのか確認しながら「……ばんわ、スピッツです」と言っていたのが野外ならではで面白かった。
それにしても、アンコール“ベビーフェイス”、そして最後の“夢追い虫”には泣けた。
≪夢見たあの場所に立つ日まで 僕らは少しずつ進む あくまでも ≫≪削れて 減りながら あくまでも あくまでも≫
と歌われる“夢追い虫”は、“僕は旅に出る”と同じ決意を持った曲。『小さな生き物』も、“夢追い虫”も、“ヒバリのこころ”も、同じ「人間」のメタファーだが、人間について歌うスピッツはとても力強い。
だから、だろうか。終演後に打ち上げられた花火はとても美しかったけど、終わりのせつなさよりもむしろ、来るべき旅(ツアー)への狼煙のような高揚感があった。(井上)