「思えば遠くへ来たもんだ」と、米津はMCで何度か口にしたが、まさにその言葉通りのステージだった。
とにかく「遠くへ」と念じてその思いのままに走り続けてきた米津玄師。
今日、彼はバンドと音を紡ぎ、辻本知彦、菅原小春というふたりのダンサーと楽曲世界を作り上げ、さらに本編最後には菅田将暉が登場し、“灰色と青”を共に歌った。
そしてその歌が、言葉が、ダンスが、すべてがまっすぐに観客とのコミュニケーションになっていた。
はじまりは、誰も理解してくれないという孤独な場所を抜けて「遠くへ」という思いだったかもしれないが、
今この武道館のステージで、さまざまな関わりのなかで、客席を埋め尽くす大勢の人間と音楽で向き合っているその姿は、とてつもなく美しく、眩しかった。
この場所を通過点にして、これから先どんな景色を見せてくれるのか楽しみでならない。
本当に素晴らしいライブだった。(塚原)