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    ゆずの弾き語りドームツアー、東京ドーム公演を観て

    ゆずの弾き語りドームツアー、東京ドーム公演を観て
    日本音楽史上初の弾き語りドームツアーなのだから、それは当然誰も見たことも聞いたこともない時間になるのだが、
    今回のツアーの本当のすごさは、そういう客観的な事実にあるのではないような気がする。

    ただただゆずにしかない時間が溢れている、ただただゆずでしか出せない空気に包まれている、という感じがする。

    それは何によって生まれているのかというと、端的に、グルーヴだ。
    ゆずにはゆずにしかないコーラスも楽しさもエンターテイメントもあるが、それよりもなによりも稀有でオンリーワンなのはふたりが紡ぎ出すグルーヴなのだと思う。
    ふたりがあの人なつこいメロディを歌い出す以前に、ふたりがあの美しくて無骨なハーモニーを重ね合わせる以前に、ふたりが目を合わせて二本のアコースティックギターをかき鳴らした瞬間にゆずだけの時間は始まる。
    大げさに言うと、その瞬間にすでにゆずだけの魔法は生まれているんだと思う。
    僕はたとえば100通りのストロークを聴かされたとしても、ゆずのふたりのギターストロークを見つけられる気がする。

    だから、このツアーはある種の奇跡への挑戦なのだろうと思う。
    スキルじゃなくテクニックじゃなく、もっと言うと才能などでもなく、ふたりが22年もの時間をかけてたどり着いた、揺れと揺れが重なって生まれる奇跡のバランスと、美しく揺れているからこそ整っているという、ウソみたいな調和。
    このツアーはそれを何度も生み出してみせるライブなのだ。
    それはまさにゼロからイチを生む作業であり、その無二の現象がドームに集まった5万人に共有されることはやはりどこか奇跡じみたことだと思う。

    バカみたいな結論で恐縮だが、やはり22年間トップを張り続けられるアーティストにはそれだけの理由がある。
    その事実にはラッキーも奇跡もないのだと思う。

    今日発売のJAPANで、ゆずの稀有さについて、ふたりとじっくり話しています。
    ぜひ読んでほしいです。(小栁大輔)
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