神様、僕は気づいてしまった、初のツアー初日を観て

神様、僕は気づいてしまった、初のツアー初日を観て
アルバムを聴いていても伝わってくるが、わざわざバンドという形態で音楽をやる目的がクリアになっているバンドだ。
怒りと悲しみと違和感と虚しさ、息苦しさ、うまくいかなさ、世間との摩擦。
そういったネガティブな事象を抉るように描きながら、ライブ全体にうっすらと光のシルエットが見えてくるのは、彼らにとってこの音楽を、このバンドでやることに強烈な必然があるからだろう。
つまり、生き急ぐようなビートと乱高下するメロディ、キンと澄み切ったこの零度の歌にこそ、彼らにとっての救いがあるのだと思う。
どこか、癒しを感じるライブだった。

時代の空気を言い当てるだけでなく、一人称を貫き、今生きている個人の実感を歌い続ける神様、僕は気づいてしまったはど真ん中のない世界において、半ば無理やりに中心を作ろうとしている。
そこにあるものがブラックホールのような虚無だったとしても、それでも自分に書けること、歌えることをひたすら綴り続けるスタンスはしみじみとかっこいいものだなと思った。
このバンドの吐露には一筋の清々しさがある。
そして、その清々しさは、彼らがロックバンドに固執する理由とも無関係ではないと思う。

発売中のJAPANでロングインタビューしてます。ぜひ。(小栁大輔)
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