ただの独白というわけでもない。
本人の言葉を借りると、「『ああ辛いな』の一歩先を描きたくて」完成したこの2ndフルアルバム『返事はいらない』は、楽曲を「手紙」になぞらえてクボタカイが世界に向けて放つ慈愛に満ちたメッセージなのだが、それは同時に、我々リスナーとのダイアローグでもある。
喪失感を心に空いた《穴》に形容して切実な恋心を描いた“ピアス”と“隣”、《そっと繋いだ指先に込めた 愛と呪い》という強烈なフレーズをささやきながら、サビで《最後がいい》をスカのリズムにのせてポジティブに繰り返す“ふたりぼっち”など、持ち前のウィスパーボイスで巧みに表現される全13曲は、楽曲ごとにその歌詞世界に照準を絞って確かな距離感と重さを持ってどっしりと響いてくる。
今回のインタビューでは、楽曲制作における心境の変化も語ってくれた。
デビュー当初こそ、失恋をきっかけとした衝動や感情を楽曲に落とし込んでいた彼だが、今では「『祈り』の真空パックというか。感情ももちろんあるけれど、でもそれを受け止めてじゃあどう考えるのかっていう」と相手との対話を求め、感情のその先にあるものを掴み取ろうとする姿勢がうかがえる。
最新作『返事はいらない』の楽曲それぞれに込められた思いや制作背景は、公開中のインタビューをチェックしてください!(橋本創)