トップバッターはジャンルレスで多彩な楽曲を生み出す新世代のマルチクリエイター、紫 今。力強いサポートベース&ドラムを携えつつも、そのビートに負けない高い歌唱力で、まだ二十歳とは思えないカリスマ性を帯びていた。
次に登場したのは「ネオ・サーフミュージック」を掲げた独自の音楽路線を突き進むシンガーソングライター、UEBO。耳心地のいいグッドミュージックで会場の雰囲気をガラッと変え、観客の体を自然と揺らしていく。
イベントの最後を飾ったのは、どこか懐かしさも感じるサウンドに乗せて日常に寄り添うポップソングを届ける3人組バンド、ヤユヨ。初見のお客さんの心にもスッと入り込める親しみやすいメロディと、言葉がしっかりと届く歌声と演奏でジャンルの垣根を軽々と越えていくライブだった。
歌声の魅力や、ステージでの立ち振る舞い、本人から発せられる言葉などは、やはりライブでないと体感することはできない。そして、似たもの同士ではないからこそ、それぞれが自らの音楽をぶつけ合うことで、三者三様の個性がより引き立っていた。
今やサブスクでジャンルなど気にせずに好きな音楽を一瞬で聴ける時代。ライブシーンでも今後こんなジャンルレスなイベントが増えていくのかもしれない。(有本早季)
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