アルバムのテーマにもあるように、自らが築いた城にリスナーを招き入れるような、内省的でありつつも解放的なモードが存分に味わえる今作の中でも特に異彩を放っているのが“105☻”だ。
タイトルの「105」は楽曲のBPMを表している。
冒頭、子どもの「どうしようママ〜」と訴える声が、楽曲全体を「あどけなさ」や「無邪気」というベールで包み込み、極めて摩訶不思議な世界が幕を開ける。
MVでは動物の仮面を被った子供たちやピエロが登場し泣いたり笑ったりと戯れる姿とは対象的に、Chilli Beans.の3人は暗がりで酔いしれるように歌い踊り続ける。
同じくアルバムに収録されている“doll”もそうだが、今回のアルバムはミドルテンポでダウナーな印象がありながらもキャッチーなメロディと力強いグルーヴで身体の奥深くが躍動するようなダンサブルなナンバーが多い。
金髪姿のMotoのビジュアルもインパクト抜群で、なんといっても終盤《泣き止まないね僕の全てが》からの突き抜ける高揚感と悪夢を見たあとのような倦怠感や焦燥感がないまぜになって押し寄せてくるラスサビが強烈。これまでにないChilli Beans.を味わえる至極の1曲だ。
いよいよ来週に迫った日本武道館公演でのパフォーマンスも楽しみだ。（橋本創）
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