セカンド・ミニアルバム『オール・ド・ファッション』のレコ初ワンマン。 渡辺(Vo)も、澤(G)も、最初からかなり突っ走っている。アルバム・ジャケットと同じりぼんタイをした岡本(Dr)は、あのベビーフェイスからは想像できないパワフルなグルーヴをたたき出し、宮田(B)は近所からふらっとやってきました、みたいなTシャツ姿で飄々とクールにベースを奏でる。イキっぱなしのぶっとんだギターと、白眼を剥いて叫ぶヴォーカルをがっつり支えるいいバランスだ。4人が4人ともバラバラのカッコよさを持っているのは、魅力的なバンドの条件だろう。
“女にロック”〜“廃人のロックンロール”の流れが最高にカッコよい。ロックンロールの毒気や色気や熱気を音だけで出せるバンドってなかなかないよなあ。
きっかり1時間、全17曲で2枚のミニ・アルバムを全曲を演奏。 もう曲がない、と言って、3年前に4人で始めてスタジオに入って演奏したというイギー・ポップ&ザ・ストゥージズの“サーチ・アンド・デストロイ”をやった。 イギーみたいにステージの上で嘔吐したり、裸でガラスの破片の上を転げまわったり、ナイフで体を切り刻んだりしなくても、パンクの初期衝動で楽しくみんなを巻き込める。それを10代がやっているというのが素晴らしい。 そして、“ロンリーローリン”を聴いていると、彼らはもっともっと巻き込んで行けるに違いないと確信した。
アンコール前には、モット・ザ・フープルの“すべての若き野郎ども”が流れていた。 《すべての若き野郎ども、ニュースを運んでくれ》――ロックの世代交代を歌ったグラム賛歌は、今の彼らにあまりにもぴったりだった。
ちなみに今日発売したJAPANのPIXコーナーには、黒猫チェルシー×吉井和哉の写真も載ってます。この写真を見ていると、かつてデヴィッド・ボウイがモット・ザ・フープルをプロデュースしたような、トッド・ラングレンがニューヨーク・ドールズをプロデュースしたような、あるいはジョン・ケールがストゥージズをプロデュースしたりしたような、濃厚なロックの連鎖を感じてやみません。(井上)