10代でロックンロールをやるバンドがまた増えているけれど、黒猫はその中でも最もロックンロールを「やる」というレベルではなくロックンロール「である」バンド。彼らはロックンロールの当事者の世代ではない。だから彼らにとってロックンロールは「生きている」ものでも「死んでいる」ものでもなく「永遠にある」ものなので、それを意図的に選び取ってやっているわけだが、それでも彼らのロックンロールは全く批評的じゃない。ロックンロールを転がすのではなく、転がる彼ら自身がロックンロールになっているのだ。
今のところはロックンロールの当事者世代からはどこかノスタルジックな愛情を注がれ、同世代には異物としてのインパクトを振り撒いているというのが彼らを取り巻く現状だが、もっと大きな可能性を持っているバンドであることは間違いない。今日のライヴも凄まじいパフォーマンスと異様にレベルの高い演奏だったが客席もそのロックンロールの中に巻き込んで転がす野蛮さがもっとあってもいい。黒猫チェルシーのロックンロールには間違いなくその力がある。(古河)