七尾旅人のニュー・アルバム『billion voices』、発売から約1週間が経とうとしていますが、皆さん聴きましたか？
本当に素晴らしい作品です。
ネットや様々なメディアの登場で、世界中の人々の無数の声が噴出した「今」という時代性と、
それでも音楽が持つ魔法の力は古今東西変わらないという普遍性を、
同じくらい痛感する１枚。

大作『911FANTASIA』以降、ライヴはもちろん楽曲の自力配信や、先日もうすた京介とのコラボイベントをUSTREAM配信したり……とインディペンデントで独自の活動をしている七尾旅人。
現在発売中のJAPANにもインタヴューを掲載していて、取材時に立ち会ったのだが、話を聞いているだけでも、クリエイティヴであること、メディアの在り方など、いろんなことを考えさせられる濃密なインタビューだった。
音楽シーンは、CDが売れない、アーティストの権利が侵されるなど暗い話題が多いけど、その中で「こんな面白い、楽しい方法があるよ」と光を投げかけ続ける姿勢が印象的だった。

そういえば私達は時々、ニュースやネットや歴史上の無数の人々の声を、「名もなき人々の声」、なんて言い方で総体化してしまう。
でも、本当は「名もなき人々の声」なんてものは存在しなくて、その声の一つ一つは一人一人名前を持ったゆるぎない個のものであり、それは尊重されるべき存在だということを、
『billion voices』を聴きながら改めて思った。(福島)