なんだろう、この「すべて」を観た感じ！
世界を破壊する過激な衝動と、世界を生み出す巨大な愛情。つまりアートや人間や宇宙の「すべて」を、ツアーファイナルにたどり着いたthe HIATUSの5人は表現し切っていた。

ステージの上では何度もカオスが生まれ、そのたびに、そのカオスをも含めて丸ごと抱きしめるような大きな愛が鳴り響いた。エレキギターのノイジーなストローク、アコースティックギターの繊細なアルペジオ、雷鳴のようなシンバル、朝露のようなピアノ、心臓が脈打つようなベース、そして細美の魂を抉り出すようなヴォーカル。音が織り重なって世界が生み出されていく。痛みと苦しみと快楽と興奮が一緒くたになってやってくる、そんな高揚感に圧倒されっぱなしだった。終わった瞬間、「ああ、生きてる！」って思った。（小川）