FoZZtone@キネマ倶楽部の余韻がじわじわくる!


色とりどりの布で装飾されたキネマ倶楽部。
日本の、しかもたった一組のロックバンドのワンマンを見たとは思えないような、
とても満ち足りた気分になる、素晴らしい音楽体験をしてきた。

2枚組アルバム『INNER KINGDOM』ツアーファイナルという位置づけの本公演。
組曲仕立てのDISC 2の、欠けていた第3章を含めて完全再現するという意味で、
「Pageant : Keller Water完成披露会」と題して行われたが、
渡會自身がMCで「変なライヴしてんなー」と言い放ったように、 FoZZtoneの発する音楽の中でも最もコアで、
良い意味で「簡単には理解できないもの」でもあった。

ハードロック、プログレ、レゲエ、ダブステップ、ケルト音楽、アフリカ音楽…
といった要素に取り組みつつ、ロックオペラ風に進行して いく、60分強。
「普通」のギターロックバンドの発想では絶対にやらない内容だ。
ロックに深い意味と尊厳を求め続ける、FoZZtoneらしいライヴだと思う。

終演後にはメンバーが口をそろえて「緊張した」と安堵の声を漏らすほど、
今回のライヴにあたっては相当のプレッシャーもあったようだが、
写真のとおり、ライヴ後の表情はここ最近見た中で一番満足げだった。
難しい課題に臆せずに挑み、絶えず自分たちをいじめずにはいられない。
それを乗り越えるたびに快感と達成感、バンドとしての誇りを見出し続けているのだから、
FoZZtoneはどこまでもストイックで、とんでもないドMバンドだ。
そして、何よりも深く音楽を愛しているバンドだと改めて思う。

この日のライヴを見終えて、もう何度聴いたかわからない 『INNER KINGDOM』を、
またぞろヘビロテしてしまった。このブログを書くのが遅れたのも、実はそのせい。
フィジカルとかメンタルとか、最初はどこか難解に思えたこの作品が、
今は不思議とすんなり受け止められている。
『INNNER KINGDOM』、やっぱりすごいアルバムだ。(秦)
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