真空ホロウ、大きな世界へ!@渋谷WWW

真空ホロウ、大きな世界へ!@渋谷WWW

新しい大きな世界に「初めまして」と力強い第一歩を踏み出したような、厳粛で堂々としたライヴだった。メジャー初ツアー“The Small world”TOURのファイナル@渋谷WWW。
“サイレン”“被害妄想と自己顕示による不快感”といったライヴでお馴染みの楽曲で幕を開け、“グライダー”からどんどんディープな内面世界に潜り込む。
10月にリリースされたメジャーファーストミニアルバム『小さな世界』について、松本明人(Vo&G)は自分の脳の一片だ、と語っていた。喜怒哀楽という感情すら超えて、潜在的な無意識にまで潜り込み、最後の最後に“The Small world”という彼自身の表現の核へと辿り着く。そのインナーワールドを探る冒険は、とてもスリリングで感動的だった。
《誰かが笑って「くだらねえ」と言っても この手が掴んで放さない 深い傷痕》
《誰かが優しく僕を鎮めても あの日の涙が止まらない いつまでもずっと》
《いつかこの歌を笑って唄えても この声ですべて忘れない 青い記憶を》
松本はこの楽曲を10代で書いたそうだ。これから自分が歌い続けていく声明文として、メジャー初作品に入れる必然があったのだ。そして今日彼は、まずは武道館を目標にしたい、というMCをぶちかましスタッフを驚かせていた。

“The Small world”を生み出すことになった高校時代の出来事について、松本はむしろ感謝している、とJAPANのインタヴューで答えていた。また、このアルバムを『小さな世界』と名付けている時点で、彼にはより大きな世界が見えているということだ。こうした客観性や俯瞰した視点こそが、真空ホロウというバンドのスケール感やメロディの普遍性を生み出しているのだと思う。非常にコアでありつつ、誰にでも届くポップさを持ったバンドだと最初ライヴを観た時に思ったが、今日さらに強い実感を持って響いてきた。
12月31日、カウントダウン・ジャパンの大晦日に出演! 今の真空ホロウ、ぜひ見てほしい。

ちなみに。
今日のライヴは完売御礼ということで生配信されていたのだが、MC中に配信中だということを突っ込まれ慌てたベース村田は、何の脈絡もなくいきなり「I love people!」と叫んだ。一方で、ウジ虫みたいにたくさん人がいるから一人ぐらい××してもわからないんじゃないかなどという物騒な歌詞をぶちかます松本。太陽と月、いや太陽とブラックホール(?)みたいなふたりのギャップはどんどん大きくなるが、その間に鎮座するドラム大貫の心中やいかに…といつもちょっと気になる。
(井上)
ROCKIN'ON JAPAN 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする