ライブハウスでありがとうを伝えられるだけ伝えようと思う──ファンとの距離、体温を確かめ合ったosageのツアーファイナルを観て

ライブハウスでありがとうを伝えられるだけ伝えようと思う──ファンとの距離、体温を確かめ合ったosageのツアーファイナルを観て
3月23日に東京・渋谷CLUB QUATTROで開催された「osage oneman Live Tour 2025『monument』」のファイナル公演で、進化し続けている彼らの現時点における完成形を観た。

去年メジャーデビューを果たし、新たなフィールドで自分たちの音楽の可能性を広げているosage。私は今回、ライブの冒頭からosageというバンドの勢いに圧倒された。それは、1曲目にまさかの最新曲“フラグメント”を投下し、最新型のosageの姿をぶつけてきたこともそうだが、そこからの流れに驚いた。勢いだけではなく、その後の“フロイト”や“最終兵器”で見せたかっこいい姿で心を惹きつけて、続く“Greenback”で、感動的な空間を作り出していた。ライブが始まって十数分で、最高なフロアの空気に仕上げたのは、山口ケンタ(G・Vo)の冒頭から見せた勢いのある掛け合いが大きな要因だろうが、何より観客も楽しめるコール&レスポンス、クラップが入る楽曲を並べたことも大きい。

その後も新旧の名曲たちを続けてドロップしていく。そんなライブの展開におけるスピード感に圧倒されたのだ。音源からもライブがイメージできた最新EP収録の“Selfie”は、初めて聴いた時からまさに見たかったんだと妄想していた景色が目の前に広がっていた。自分たちの音楽を聴きに来た人たちが集まっているワンマンライブとは言え、プレイヤーとしてはどうやって会場の熱を上げていくかに悩んだりもするだろう。でも、この日のライブは冒頭からの数曲で、すでに中盤戦かのような盛り上がりを見せていたし、最速で仕上がっていた。そんな衝撃から始まったライブ。アンコールもなしで、この一瞬を大切にしながら全力で楽しむんだという、osageとファンの絆も感じ取れた空間だったと私は思う。

ロック、ポップス、DTM、ファンク、カントリー、オルタナティブなど、ジャンルに囚われない音楽を届け続けているosageだからこそ、ひとつの小説、物語を読み終えたように心を揺るがす、彼らにしかできないライブを見せてくれたのだろう。ライブバンドとしてのosageの実力も目の当たりにして、会場を出たあとも興奮が冷め止まない、そんな最高の一夜だった。(岩田知大)
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