sukekiyo、日本青年館でのライヴ「別れを惜しむフリは貴方の為」を観た

sukekiyo、日本青年館でのライヴ「別れを惜しむフリは貴方の為」を観た

透徹された美意識とデカダン嗜好。
様式美は表現にまで昇華され、ドラマとしての叙情性が、淡々としたミニマルな世界の均衡を侵すように突然訪れる。
それはとても背徳的な体験であり、あえて言うなら、まるでピーター・グリーナウェイの映画を観ているようだった。

まだ京都公演も控えているので詳しくは書かないが、京という表現者が抱えている情緒性と、その土着的な感情を何より前衛的で「振り切れた」ものとして音像化させてしまう業と衝動が浮き彫りにされたライヴだった。
すべての曲においてメロディが際立っているというのも重要なポイントだ。
京は流麗に流れゆく旋律を辿りながら楔のように狂気を打ち込んで行く。
その美しい川筋を漂いきったあとには、毒と痛み、つまり物事の裏側の部分が残されるようになっている。
だから、sukekiyoのライヴはたまらなく贅沢で、どこまでもドラマチックな時間になる。

音響面、映像、照明、演奏、すべてが完璧に磨き上げられていた。
やはり、sukekiyoとは音楽を愛する者にとって、最高の贅沢品のひとつだ。

圧倒的なライヴだった。京都で観るという人が本当に羨ましい。
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