パンクの意味とは何か
2009.09.20 15:21
それは、破れたTシャツを着たり髪を逆立てたりすることだろうか。
政治的立場を鮮明にしてとにかく反体制と叫んでみることだろうか。
それとも、即効的にひとびとに拳を突き上げさせるための
機能的な音楽話法だろうか。
パンクの果たしたいちばん大きな意味は、
普通のあんちゃんがまたロックをやってもいいという制度改革だったと思う。
70年代末期、必要以上に文学化アート化高級化したロックへの反動として、
アンダーグラウンドで勃発したパンクは、
「俺たちだってロックをやるんだ」ということだった。
だからそれは、過度にファッション化したハード・ロックやMTVロックへの反動として、
90年代に起きた「オルタナティヴ」と同じである。
ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』が、
アメリカでもっとも成功した「パンク・アルバム」だといわれるのはそのためだ。
パンクは、ロックの人民回帰として、つねに起きてきたし、
それはこれからも起こりうるムーブメントなのである。
アメリカのパンクの聖地のひとつ、サンディエゴから登場した
平均年齢20歳のバンド、The Soft Packは、
そのような意味でいまとても「パンク」を感じさせてくれる。
シンプルな演奏とフットワークのいいメロディ、そしてその「感触」。
この音からは、彼らが何を好きで何を嫌悪し、何を絶対に寄せ付けないのかがわかる。
日本でも10月にデビューEPがリリースとのこと(「The Muslims EP」)。
写真は、彼らのファースト12インチのジャケット。
メンバーの父親の友人がNY市警に勤めていて、その彼がつけた弾痕、だそうだ。