それがこれ。以下全文。
ア・サウザンド・サンズ
僕達はアルバムを作っていたのではない。
何ヶ月にも渡って我々はバンドを解体しては再構築してきた。その結果である実験の数々は、多様で抽象的なサウンドでスタジオのハード・ドライブを満たしていった。形の定まらないエコー、騒音のようなサンプル、さまよう捉えどころのないメロディーに交わる手作りのスタッカート。それぞれのトラックは幻影のように感じられた。
それらのアンオーソドックスなアイデアを所謂アルバムというものに組み込むことが可能であるという確信はなかったが、次の作品を予想範囲内のものにはしたくないと僕達は考えていた。そしてファースト・アルバムを制作したのと同じスタジオにみんなで集まり、あえて挑戦を受け入れ、真の意味で冒険的な何かを作り上げようと6人で誓い合った。僕達は僕達自身に問いかけた。誠実なアートと我々が信じるところを目指す上で、商業的な野望というものを捨てきることが、これまで以上に、心の底から進んでできるのか?と。
ありきたりのアルバムのために、ありきたりの曲を書いてしまいがちな傾向が訪れては過ぎていった。スタジオの外の世界に存在する期待に応えるべく自身のクリエイティヴなヴィジョンを適合させる誘惑は、バンドとして達成を望む独創性に富んだ野心の前に屈した。2年に渡る『ア・サウザンド・サンズ』の製作過程は、未知なる創造への、心踊る、超現実的な、そして多くの挑戦を伴う旅路となったのであった。
潜在的なインスピレーションと惜しみない努力により作り上げられたこの努力の結晶の完成前夜は、感動的且つ驚きに満ちた概念を我々に見せてくれた。このアルバムにおける人格化されたイメージは、教義的でも、政治的に故意なものでもない。創発的なテーマとメタファーが独自の人間的な物語を彩っていくのである。
『ア・サウザンド・サンズ』は個人のプライド、破壊と後悔のサイクルを捉えたものである。夢においてそうであるように、人生においてこの順番は常に一次的なものではない。そして時に、真の悔恨は壊滅のサイクルに浸透していく。そしてもちろん、希望とは、我々が最も苦しい時において変化の可能性が生まれたという概念のもとに生まれるものなのである。
音楽を楽しんでくれることを願って。 リンキン・パーク